2010年5月8日(土)「しんぶん赤旗」

空自の人権侵害現職幹部が告発

自白強要 うそ発見器で取り調べ 病院に行かせず


 航空自衛隊の現職幹部が隊内の窃盗、情報漏えい問題の容疑者とされ警務隊による家宅捜索、自白強要などの人権侵害を受けたとして、謝罪と容疑の撤回などを航空自衛隊幕僚監部に求めていることが7日、本紙の取材で分かりました。

 告発しているのは、航空自衛隊小松基地(石川県)の小松管制隊所属(当時)の1等空尉(46)。警務隊による違法捜査について内部告発者を保護する「公益通報者保護法」で訴えました。

 同1尉が航空自衛隊幕僚監部(空幕)に提出した公益通報によると、2008年3月に小松基地管制隊所有のUSBメモリー(記憶装置)が盗難にあいました。1尉は、09年5月14日にその容疑者として家宅捜索され、小松地方警務隊による約20日間に及ぶ取り調べを受けました。

 取り調べでは、本人の否認を理由にうそ発見器にかけ、「自白しなければ逮捕になり、新聞、週刊誌にも載り、子どもがいじめにあうぞ」などと自白を強要。長時間による取り調べで体調を崩し適応障害と診断されました。病院への通院を申し出た際にも拒否され、衛生隊の点滴ですまされたことなどの人権侵害をうけたと告発しています。

 1尉は「警務隊は私をうそ発見器にかけ、家宅捜索で私物を押収して容疑を裏付ける材料がないにもかかわらず、その後も再調査を口実に容疑者扱いを続けている。こんな違法捜査、人権侵害は許されない」と語ります。

 防衛省は、本紙の問い合わせに「個別の公益通報にかかわることについては、その受理の有無を含め、通報者の保護の観点から回答は差し控えたい」としています。

 航空自衛隊小松地方警務隊が1尉の犯行と決め付けるUSBメモリー盗難事件の発覚は、ある事件によって浮上しました。08年3月19日、石川県小松市の県税事務所内で「航空自衛隊小松基地」と印刷された封筒を清掃員が発見。小松基地に届けられた封筒内には白色のCD1枚があり、内容は管制隊に関する資料であることが判明しました。この調査の中で、隊所有のUSBメモリーの数を点検したところ3本の紛失が判明しました。





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