2010年5月4日(火)「しんぶん赤旗」

民主の高速道路政策 破たん

無駄な道路建設 自公と変わらず

無料化掲げたが実質値上げ


 政府がめざす高速道路の新料金制度が、実施直前になって小沢一郎民主党幹事長の反対で仕切り直しに追い込まれる事態になっています。鳩山由紀夫首相が国会審議を通じて結論を出すと表明したことから新料金は棚上げに。参院選に向けてアピールしようと、6月に開始する一部の高速無料化テストと同時に実施しようとしていたもくろみは難しくなっています。(深山直人)


 国土交通省が発表した新料金は、普通車2千円など車種に応じて上限を設定するものです。しかし、「休日上限千円」など現行の割引制度が廃止されるため、普通車の場合は70キロ以上走行しないと2千円には届かず、近距離ドライバーは実質値上げになってしまいます。

 民主党が昨年の総選挙マニフェストで「高速道路の無料化」を約束していたことから、「無料のはずが値上げとは」と反発の声が広がっています。

小沢氏が要望

 新料金制度は、もとはといえば、小沢幹事長が昨年末に鳩山首相に出した同党の重点要望のなかで、高速道路の建設促進を強く求めたのが始まりです。

 財源確保のため政府は、「休日千円」など料金割引に充てるはずの原資2・5兆円から1・4兆円を、東京外環道など全国6区間の建設に充てることを計画。これが「実質値上げ」につながったのです。

 今国会には、この料金割引原資を建設費に流用できる法案が提出されています。無駄な高速道路計画の抜本的な見直しも行わないまま、税金投入による際限のない高速道路建設に道を開くものです。

 一方、高速道路の建設をすすめれば無料化などに回す財源が減るため無料化はますます遠のくことになり、無料化路線は破たんにひとしい状態です。

 税金投入による高速道路建設は自公政権時代に、高速道路を「直轄道路」、すなわち国道として建設する道筋を付けたのが始まりです。

共産党は批判

 民主党は野党時代、「国費を投入しないという政府方針や、不採算道路は建設しないという民営化の趣旨にも反する」(馬淵澄夫衆院議員=現国交副大臣、2009年5月)と批判していました。割引原資の流用法案はこうした言明にもそむくものです。

 流用先のうち1兆2800億円と大部分を占めるのは東京外環道(練馬―世田谷間)です。地下に巨大トンネルを掘るなど1メートル建設するのに1億円もかかる巨大事業。騒音や大気汚染、住環境破壊を招くことから住民合意は得られていません。

 日本共産党の小池晃参院議員が決算委員会(4月19日)で、「1メートル1億円の巨大道路をつくるのは自公政権と変わらないではないか」とただしたのに対し、前原誠司国交相は、「国幹会議(国土開発幹線自動車道建設会議)で議決したこと」と自公政権と変わらない姿勢で正当化しました。

 無料化路線は、31兆円(08年度末)も残る高速道路の建設債務を国民に押し付ける一方で、税金投入による際限のない建設を続けるのがねらいです。新料金制度をめぐる迷走は、この自公政権と何ら変わらない姿勢が招いたものであり、無料化路線が破たんしていることを示しています。





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