2010年4月27日(火)「しんぶん赤旗」

沖縄県民大会の総意は

「普天間」無条件撤去へ交渉を


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(写真)4・25県民大会会場で発言に拍手する参加者=25日、沖縄県読谷村

 米軍普天間基地の早期閉鎖・返還を求め、県内「移設」に反対する4・25沖縄県民大会は、9万人が集う歴史的集会となりました。地元紙・琉球新報は26日付「社説」で「4・25県民大会を、将来の基地撤去に向け県民の新たな挑戦が始まった日として胸に刻みたい」と書きました。

 ところが大会当日沈黙を守った鳩山由紀夫首相は26日、「民意のひとつのあらわれ」とする一方、「(沖縄の)負担軽減。そして普天間の危険の除去を実現したい」などを口にしただけでした。「危険除去」の名で、「県内たらい回し」を画策してきた経緯を考えれば、これで本当に県民の意思を受け止めたのか、疑わしい態度です。平野博文官房長官も同日の会見で、「あらゆる予見を持たずにゼロベースで考えている」と述べました。

 県内「移設」を含む「ゼロベース」などという言葉をいまだに振り回す態度は、天にも届けという県民の意思表示への許しがたい冒とくです。

政局的に利用

 一方、自民党の谷垣禎一総裁は25日、「非常に解き方が難しい問題にもかかわらず、鳩山首相は軽く見すぎた」などとし、5月中に決着できなかったときは退陣すべきだとしました。しかし、問題は「基地のない平和な沖縄」という県民の願いをどう実現するかです。問題を政局的に利用する態度は、自らへの批判を買うだけです。

 騒音、事故、米兵犯罪などの基地被害と米軍特権への怒り、戦争の出撃拠点となっていること自体がもたらす苦痛、攻撃の標的とされる危険―。

 日本共産党の志位和夫委員長は25日、「沖縄の怒りは限界点を超えた。だから日米両政府は、それを受け止めて、この声にこたえるべきだ」と述べました。

 県民の怒りは、普天間基地の「『県外・国外』移設」の公約を投げ捨てようとしていることに向けられています。前出の琉球新報社説は「『最低でも県外』と県民に公約した鳩山由紀夫首相は、もはや後戻りはできまい。新たな基地の県内建設という野望を捨て、危険な基地の撤去を急ぐべきだ」と書きました。

安保問い直せ

 集会に示された県民の総意は、民主党が固執する「移設条件付き撤去論」の限界を乗り越えつつあるのです。徳之島の1万5000人集会にも示されたように、日本のどこにも「移設先」などありません。沖縄県民の声を受け止めるならば、今こそ無条件撤去を米国政府に迫るしかありません。

 日本共産党の志位和夫委員長はルース米駐日大使に、堂々とそのことを提起しました。

 いま普天間問題を通じてその根本にある日米安保体制そのものを考え直す時期が来ているという認識が広がりつつあります。

 25日夜放映されたNHK教育テレビの番組で、稲嶺恵一前沖縄県知事は、「日米安全保障条約はできたときと全く状況が変わってきている。この際、普天間だけの話ではなしに、日米の安全保障の基本的あり方を徹底的にみんなで考えて議論してもらう」必要性を提起しました。

 県民の総意をふまえ、さらに日米安保体制を含め、国民的対話が求められています。(中祖寅一)





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