2010年4月27日(火)「しんぶん赤旗」
西松、責任認め謝罪
新潟強制連行中国人と和解
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戦時中に強制連行されて新潟県内の信濃川で発電所建設の過酷な労働を強いられた中国人の元労働者183人と、加害企業の西松建設(東京都港区)は26日、同社が歴史的責任のあることを認めて謝罪し、解決金1億2800万円を支払う条件で、東京簡易裁判所で和解しました。
和解条項によると、発電所建設工事での強制労働は「閣議決定に基づく歴史的事実」であり、同社は「これらを事実として認め」、「企業として被害者およびその遺族に対して歴史的責任のあることを認めて、深く反省し謝罪の意を表明」しています。中国人権発展基金会に1億2800万円を信託し、強制労働被害者183人への補償、未判明者の調査費用、記念碑建立などにあてます。
今回の和解は、2009年10月に、同社と広島県の安野発電所建設への強制連行・強制労働被害者の中国人元労働者・遺族との間で和解が成立したことに続くもの。中国人強制連行・強制労働事件の加害企業が、自社のすべての事業場の被害者を対象として和解したのは初めてで、他の加害企業や国の今後の動向が注目されます。
記者会見で高橋融弁護団長は、西松建設が強制労働被害者と“全面解決”した意義を強調。「1企業でも、決断すれば問題は解決する。連行された4万人のうち、生きている人はわずか。国や他企業はこの結果に学んでほしい」とのべました。
連行された父・張尽文さんを昨年12月に亡くした張造領さん(58)は涙をうかべ、「飢えや凍傷など、父たちは奴隷以下の苦痛を味わった。本来なら謝罪や賠償でいやされるものではない。複雑な気持ちだ」と話しました。
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