2010年4月24日(土)「しんぶん赤旗」

普天間基地移設問題での

赤嶺議員の質問

衆院本会議


 日本共産党の赤嶺政賢議員が22日の衆院本会議で行った質問は次の通りです。


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 総理は、オバマ米大統領との会談で、米軍普天間基地の問題に関して意見交換したとしていますが、総理は、この会談にどう臨み、何を主張したのですか。

 昨年9月の政権発足以降、鳩山内閣は、従来の日米合意に代わる新たな「移設」先の検討をすすめてきました。米軍嘉手納基地、キャンプ・シュワブ陸上部、与勝半島沖合、徳之島など、次々と「移設」先を挙げてきましたが、どの地域でも、自治体ぐるみの強い反対と怒りの声がわきおこり、「移設」先探しは完全に袋小路に陥っています。

 なぜこのような事態に陥っているのか。それは、根本が間違っているからです。

沖縄県民の総意

 1995年の米海兵隊員による少女暴行事件と、これに抗議して開かれた沖縄県民大会を契機に、日米両政府は普天間基地の全面返還に合意しました。あれから14年が経過しましたが、いまだに返還は実現していません。普天間基地に代わる新たな基地の建設が条件とされたからにほかなりません。

 沖縄県民は、96年12月のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意以降、基地の「県内たらい回し」に一貫して反対してきました。

 日米両政府が、名護市辺野古に新基地を建設しようとしたのに対し、名護市民は97年12月の市民投票で、明確に反対の意思を示しました。ところが、当時の政府は、これを無視し、振興策によって住民を分断し、基地を押しつけようとしたのであります。

 海上ヘリポート案、軍民共用空港案、L字形沿岸案、V字形沿岸案へと建設計画は何度も変更を余儀なくされ、破たんに追い込まれました。そして、今年1月の市長選挙で、「辺野古の海にも陸にも基地はつくらせない」と公約した稲嶺氏が当選し、市民の決定的審判が下されたのであります。

 キャンプ・シュワブ陸上部に基地を建設することは、この住民の意思を真っ向から否定するものです。しかも、住宅地に接近し、小中学校や国立高専の上空を米軍ヘリが飛行することになります。普天間の爆音を辺野古に移すだけではありませんか。

 与勝半島沖合は、日本一のモズク生産地であり、豊かなサンゴ礁も存在している海域です。この海域を埋め立て、面積は普天間基地の2倍、3000メートル級の滑走路を複数持ち、軍港機能も備えた巨大な要塞(ようさい)基地をつくることになれば、貴重な自然も、住民の生活基盤も、破壊されることになります。うるま市長、市内五つの漁協が反対を表明し、県民からは「正気のさたではない」との声が上がっています。

 あの狭い島に新たな基地を建設する場所などないのであります。戦後65年間、米軍基地の重圧に苦しめられてきた沖縄で、新たな基地を建設するなど到底認めることはできません。

 沖縄県議会は、今年2月、県内移設断念を求める決議・意見書を全会一致で可決しました。総理は、沖縄県民の総意を正面から受け止め、県内「移設」をきっぱり断念すべきではありませんか。

徳之島は「兄弟」

 徳之島にヘリ部隊を移転する案も検討されていますが、4月18日、島の人口の6割にあたる1万5000人が結集して、米軍基地の「移設」に反対する集会が開かれました。「長寿、子宝、癒やしの島に米軍基地はいらない」という住民の明確な意思を突きつけました。

 徳之島は戦後8年間、米軍の直接統治下で苦しめられ、祖国復帰闘争の歴史も持つ、沖縄とは「兄弟島」の関係にある島です。そうした歴史を持つ島が、米軍基地の「移設」に反対するのは当然です。このような検討はただちに中止すべきです。答弁を求めます。

 いま政府がやるべきは、「移設」先探しにきっぱり終止符を打つことです。

 そもそも沖縄の米軍基地は、国際法にも違反して、住民の土地を強奪してつくられたものです。このような基地は、無条件で返還を求めるのが当然ではありませんか。総理は、「普天間基地の代替施設なき返還」を求めた野党時代の言明を、政権についた今こそ実行に移すべきです。明確な答弁を求めます。

軍より民の尊厳

 政府は「米軍の抑止力が必要だ」と言いますが、戦後65年間、沖縄県民は「抑止力」の名のもとに、人権を蹂躙(じゅうりん)されてきました。

 95年の暴行事件で被害を受けた少女は、15年の歳月がたとうとしている今も、心の傷に苦しんでいます。こうした事件は氷山の一角にすぎません。米軍機による爆音被害も、墜落も、演習による流弾も、原野火災も、繰り返されているのです。「抑止力」の名で、このような状態を放置することは許されません。

 しかも海兵隊は、「日本防衛」のために駐留しているのではありません。イラクやアフガニスタンなどの戦場に殴り込みをかける海外遠征部隊です。世界の平和を脅かす海兵隊は、撤退を求めるべきです。

 「軍の論理より民の尊厳を」、「犠牲の上に立つ同盟なし」という沖縄の叫びを、総理は認識すべきであります。

 以上、普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去を求め、質問を終わります。





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