2010年4月7日(水)「しんぶん赤旗」

国家公務員法改定案

民主議員が消費増税示唆 衆院で審議入り


 衆院本会議で6日、国家公務員の幹部人事を一元管理し、支配統制を強化する国家公務員法改定の政府案と、自民党とみんなの党が提出した対案の趣旨説明と質疑が行われました。

 政府案は、これまで人事院が担ってきた国家公務員の幹部人事を内閣が一元的に管理し、降任・降格人事を容易にします。

 “政府公認の天下りセンター”と指摘されている官民人材交流センターを廃止し、組織的な再就職のあっせんを原則禁止しますが、あらたに民間人材登用・再就職適正化センターを新設し、政官財癒着の温床となる「官民人材交流」などを進めます。

 自民、みんなの党の対案は、降格人事の範囲を幹部職から一般職まで拡大し、官民人材交流センターは存続する内容です。

 質疑で民主党の後藤祐一議員は、「公務員の総人件費2割カット、議員は議員定数削減で血を流し、お金持ちにも身を削っていただく、それでもお金が足らなければ消費税増税」だなどと述べ、今回の改定を庶民増税への“地ならし”と位置づけました。

 自民党の平井たくや議員は、「公務員の人件費を下げるためには、給与を下げ、職員の数を減らすしかない」などと述べ、公共サービス切り捨ての人件費削減を求めました。


人員削減・天下り温存 民・自 大差なし

 6日、審議入りした国家公務員法改定案の衆院本会議質疑で、政官業の癒着を温存し、国民サービス切り捨ての公務員削減を競い合う点では民主、自民ともに大差ないことが浮き彫りになりました。

 政府案は、これまで人事院が担ってきた幹部人事を内閣官房が一元管理し、容易に「降格」できるようにするなど、労働基本権をはく奪したまま公務員に対する支配統制を強化するものです。官僚の答弁禁止などを盛り込んだ「国会改革」法案と併せて、鳩山内閣が掲げる「政治主導」の確立めざす関連法案の一つです。

 本会議質疑では民主党が「格下げするぞとにらみをきかせ、公務員に従っていただく」(後藤祐一議員)とねらいをあけすけに語れば、自民党は「政府案では官僚依存から脱却できない」(塩崎恭久衆院議員)と批判し、「降格」人事を課長級にまで拡大するよう求めました。

 公務員は勤務条件を法律で定め、解雇や降格を規制するなど厳格な身分保障を定めています。「全体の奉仕者」として政治的圧力や干渉を排除し、国民の立場にたって働けるようにするためです。

 両党の主張は、幹部職員からこの制約を掘り崩すもので、すでに実施されている人事評価制度と併せて“ものいえぬ公務員”づくりをもたらします。

 天下りについては、旧自公政権時代に「官民人材交流センター」がつくられ、組織的な「再就職あっせん」が公然と行われてきました。政府案では、このセンターを廃止し、再就職あっせんは行わないことにします。しかし、新たに「民間人材登用・再就職適正化センター」を新設し、政官財癒着の温床となる「官民の人材交流」をすすめるとしており、「天下り」が根絶される保障はありません。

 自民党は政府案を「天下り温存」と批判しましたが、みんなの党と一緒に出した対案では、天下り公認の「官民人材交流センター」を存続するよう要求。大差ないことを示しました。

 際立ったのは、公共サービス切り捨ての公務員削減を競いあったことです。民主党が「公務員人件費2割削減の断行を」(後藤氏)と叫べば、自民党は「給与の抜本改革、職員を減らすしかない」(平井たくや議員)といっそうの公務員削減を求めました。民主が「それでもお金が足りなければ消費税増税の論議をすべきだ」(後藤氏)とのべたように、公務員削減は庶民増税の地ならしであることも浮き彫りになりました。

 日本共産党は、企業・団体献金や天下りを禁止し、政官業の癒着を断ち切るとともに、公共サービスと国民の権利を守るために人員体制の拡充と労働条件の確立こそ必要だと主張しています。そのために公務員に労働基本権を付与し、国民本位の行財政の確立や監視に向けて役割を発揮できるよう求めています。(深山直人)





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