2010年4月3日(土)「しんぶん赤旗」

主張

日米「核密約」

ごまかしやめ、直ちに廃棄を


 「核密約」を含む日米の「密約」について、外務省の有識者委員会が報告書を発表して1カ月―。報告書が「核密約」を「明確な合意はない」としたごまかしが、いよいよ通用しなくなっています。

 「核密約」をかつて国会で追及した日本共産党の不破哲三元衆院議員が今週明らかにした米側文書や、志位和夫委員長が提出した質問主意書に対する政府の回答、さらに衆院外務委員会での国際問題研究者・新原昭治氏らの発言で、報告書の所見がまったく根拠のないことが明らかになりました。政府はごまかしをやめ、「密約」廃棄のための措置をとるべきです。

交渉初日の米側の説明

 日米の「核密約」は、核兵器を積んだ米艦船や航空機の寄港・飛来を「事前協議」の対象外としたもので、1960年の日米安保条約改定の際、当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日大使が頭文字で署名した「討論記録」に明記されています。有識者委員会の報告書は「討論記録」の存在を認めながら、米側が「交渉当時、その解釈を日本側に明らかにした形跡はない」とのべました。

 不破氏が示した米側文書は、マッカーサー大使が安保改定交渉の開始時に駐フィリピン米国大使に送った58年10月22日付の極秘電報と、合意が成立した後の59年6月20日付の国務長官あての報告電報の2通です。極秘電報は、マッカーサー大使が国務省と国防総省共同の訓令にそって、「核兵器を積載している米軍艦の日本の領海と港湾への立ち入りの問題は従来通り続けられ、(事前)協議の定式の対象にならないこと」を首相と外相に提案したとしています。

 一方、報告電報は、米側が条約案や「討論記録」などを「単一のパッケージ」として日本に受け入れを迫り、「完全な合意に達した」と明記しています。日本側に「米側の解釈を明らかにした形跡はない」などという有識者委員会の所見は、根本から覆ります。

 一方、志位委員長が質問主意書で、「討論記録」を「公式の合意文書」と認めるのかと追及したのに対し、政府は答弁書で「不公表とすることとして両政府の間で作成された合意文書である」と認めました。しかも「討論記録」を、日米「共通の理解を記録するため」のものだとしています。これこそ“密約”です。「共通の理解」とはなにかが根本的に問われてきます。密約を廃棄しなければ「核持ち込みの危険がある」という志位氏の質問に対しても、政府は、「ないと判断している」としか答えられませんでした。「密約」ときっぱり認め、廃棄することが重要です。

 新原氏は衆院外務委員会の参考人質疑で、不破氏も示した米側文書などを取り上げ、有識者委員会の所見を「重大な瑕疵(かし)がある」と批判しました。日本側でも安保改定当時外務次官だった山田久就氏が、政府の説明は「とりつくろい」だとのべていたことも紹介しました。政府や有識者委のごまかしはいよいよ通用しません。

「非核日本」のため廃棄を

 核持ち込みの「密約」は明々白々です。「核密約」をこのままにしておいて、日本への核持ち込みに終止符をうつことはできません。

 核兵器のない世界を切望する世界の世論に応えるためにも、政府は「核密約」を認めて廃棄し、「非核の日本」に進むべきです。





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