2010年3月29日(月)「しんぶん赤旗」

NHK日曜討論

小池政策委員長の発言


 日本共産党の小池晃政策委員長は28日のNHK番組「日曜討論」に出演し、2010年度予算、経済政策、郵政、財源、子ども手当、米軍普天間基地問題―について各党の政策責任者と討論しました。


 小池氏はまず、26日に成立した来年度予算とこの間の国会運営などについて、後期高齢者医療制度廃止先送りなどの公約違反、沖縄県の米軍普天間基地の県内「移設」にみられる「逆走」、「政治とカネ」をめぐる鳩山由紀夫首相や小沢一郎民主党幹事長ら政治家本人の責任回避―などの問題点を列挙し、「『政治を変えたい』『新しい政治をつくりたい』という国民の願いに応えるものにはなっていない」と批判。その上で、「民主党には失望したが、自民党政治にも戻りたくないという声は根強いものがある。こうした国民の願いを背負って、政治を前に動かす立場でこれからもがんばりたい」と抱負を語りました。

利潤追求の株式会社化は全国一律サービスと矛盾

郵政改革法案

 郵貯の預け入れ限度額引き上げなどをめぐり、亀井静香郵政改革担当相と、仙谷由人国家戦略担当相ら民主党一部閣僚が意見を対立させている「郵政改革」問題について、仙谷氏は、「閣議決定するまで議論するのは当たり前だ」と述べ、亀井氏が提示した法案を批判しました。自民党の石破茂政調会長やみんなの党の江田憲司幹事長は、民営化推進の考えを改めて主張しました。

 小池氏は、「郵政改革」法案の問題点について次のように発言しました。

 小池 政府、閣僚がばらばらで、与党とも違う。これでは政権担当能力が疑われる。郵貯の目的は、生活資金を安全、確実に守っていくことだ。国民の平均貯蓄額が320万円なのに、なぜ2000万円もの預け入れ限度額がいるのか。結局、庶民のための郵貯から、大きなお金を持っている富裕層相手の商売に変質する。民営化の見直しといいながら、出てきた法案は民営化法案。ユニバーサル(全国一律)サービスを維持するなら、もうからない仕事もやらなければいけない。それなのに利潤追求の株式会社の形態をやるという大矛盾を抱えた法案を出すから、訳のわからない話になる。根本的議論を見直すべきだ。

半減した法人税税収の大穴ふさぐことが必要

財源問題

 財源問題を含めた中期的な財政政策について話が移り、仙谷氏は、「日本の財政、経済が危険なところにきているという前提で、(与野党で)話し合いをしなければいけない」と提起。石破氏がこれに呼応して、「その議論はきちんとしたい。民主党も自民党も法人税は下げなければいけないということは一致している。消費税を上げるというと選挙に負けるという話ではない」と話すと、仙谷氏は「おっしゃる通り」と答えました。国民新党の下地幹郎国対委員長、公明党の斉藤鉄夫政調会長も消費税増税を考えるべきだと発言しました。

 小池氏はこうした増税論にくぎを刺しました。

 小池 財政を再建するのは大事だが、すぐに消費税というのはおかしい。そもそもお金を持っている人からもらうのが税金だ。消費税は支払い能力、所得にかかわらずかかるから、貧困と格差が広がっているときにそういう人に税金をかける議論が真っ先に出てくるのは間違いだ。法人税は1985年の12兆円から今年度は6兆円になった。たび重なる大企業減税が財政に大穴をあけた。そこをふさがないと財政は立ち直らない。

現金給付に偏らない 総合的な子育て支援を

「子ども手当」

 26日に成立した子ども手当についても議論になりました。鳩山政権は11年度から手当を月額1万3千円から2万6千円にする方針ですが、これには5・5兆円の財源が必要になります。仙谷氏は、「ちょうど消費税1%分。埋蔵金10兆円も早々に発見できるか」などと発言。小池氏は、現金給付に偏らない総合的な子育て施策が必要だと強調しました。

 小池 現金を配るだけが「コンクリートから人へ」ではない。例えば保育所をつくるのは、お金を配るだけでなく、地域の業者に仕事がまわる、雇用が増える、保育園に子どもを預けた両親の仕事も増える。これだけの経済効果がある。有効な税金の使い方をすべきだ。

 小池氏の主張に、社民党の阿部知子政審会長、斉藤氏も満額は必要ないとのべ、仙谷氏は、「各党、自治体の意見をきいて考えた方がよい」と見直しも示唆しました。

県内移設は県民を愚弄 海兵隊撤去の議論こそ

普天間問題

 最後に、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)問題について石破氏、下地氏らは、抑止力が必要だとの立場から議論を展開。石破氏は、同県名護市辺野古への新基地建設という現行案に固執する考えを表明し、下地氏は、基地の県内たらい回しを進めてもかまわないとの考えを改めて示しました。

 小池氏は、こうした議論に反論しました。

 小池 沖縄県のキャンプ・シュワブ陸上案、ホワイト・ビーチの巨大基地建設、そして鹿児島県の徳之島への基地拡散、そのうえ普天間は有事使用と称して残すというのはとんでもない。公約違反そのもので県民を愚弄(ぐろう)するものだ。地元紙の社説は「八百長の展開」「選挙詐欺」と批判している。抑止力というのは間違いで、海兵隊に日本防衛の任務はなく、世界規模に展開する軍隊、先制攻撃の戦争の殴りこみ部隊だ。今年は安保改定50年、海兵隊基地の無条件撤去に踏み出し、基地のない日本を真剣に考える大きな議論をすべきだ。





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