2010年3月28日(日)「しんぶん赤旗」
医療行為一部を解禁
厚労省が方針決定 介護職にたん吸引など
口の中の「たん」を吸引するなど、原則として医師や看護師にしか認められていない医療行為の一部を、特別養護老人ホーム(特養)の介護職員にも一定の条件下で認める方針を厚生労働省が決めました。これらの行為が違法にあたらないと法律の解釈を改める報告書を同省の検討会が25日に取りまとめたことを受け、近く全国の自治体に通知します。
特養ホームの介護職員に解禁される医療行為は「たんの吸引」と、腹から胃に通したチューブで栄養を送る「経管栄養」(チューブの接続・注入開始を除く)の二つ。介護職員が研修を受け、医師の指示に従うことなどを条件としました。
医療行為は法律で医師や看護師などにしか認められていません。特養ホームでは医師の常勤が義務付けられておらず、看護師も入所者100人に対して3人と手薄で夜間は配置されていない場合があります。このため、医療を必要とする要介護者の入所が難しくなっているとしています。
同検討会が昨年9〜12月に全国125の特養ホームで実施したモデル事業では、介護職員が手順を忘れたり、たんの吸引後に嘔吐(おうと)したなどの事例が274件。しかし「救命救急を要するような事故は報告されていない」などとして、「概(おおむ)ね安全」と結論づけました。

