2010年3月27日(土)「しんぶん赤旗」

足利事件

捜査・誤判 徹底検証を


 無実の菅家利和さんが再審無罪をかちとった足利事件は、日本の司法の深刻な実情を浮かび上がらせました。何が冤罪(えんざい)、誤判を生んだのか、徹底した検証が必要です。

 誤った「有罪」判決を導いた大きな原因は、犯人の遺留物と菅家さんのDNA型の一致という警察庁科学警察研究所の鑑定でした。

 「科学捜査」への妄信から、菅家さんを犯人視する見方が、警察、検察、裁判所だけでなく、メディアの報道を通じて広がる状況がつくられました。

 しかし、今日では証拠能力を認めることができないほどにずさんな鑑定だったことが判決で認定されました。DNA型鑑定は決定的な有罪証拠ではないという捜査上の位置づけを、改めて明確にする必要があります。

 無実の人であっても、密室の取り調べで、捜査員との緊張関係に耐えきれず、虚偽の「自白」に追い込まれることがありうることが広く認識されたことも重要です。

 警察、検察の自白強要は根本から改められなければなりません。代用監獄廃止、取り調べの全過程の可視化も、待ったなしの課題となっています。

 再審無罪判決で、過去の捜査や裁判が誤りであったことははっきりしました。警察や検察が捜査を検証しています。しかし、これらの機関の一方的な検証で、真の問題点が浮かび上がるか疑問です。

 日本弁護士連合会は誤判の原因究明のために公的な第三者機関の設置を提言し、「冤罪による悲劇を繰り返さないための方策を講じることは国の責務である」と主張しています。

 「私と同じように苦しむ人が二度とでてほしくない」という菅家さんの訴えに正面から向き合うことなしに、17年半にわたった菅家さんの苦難に報いることはできません。(竹腰将弘)





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