2010年3月23日(火)「しんぶん赤旗」

米医療保険改革成立へ

下院小差可決 無保険3200万人新規加入


 【ワシントン=小林俊哉】米下院は21日、日曜日に異例の本会議を開き、オバマ大統領が内政の最重要課題に掲げてきた医療保険改革法案を賛成219、反対212の賛成多数で可決しました。法案は医療費の抑制と保険加入者の拡大が柱。4600万人にのぼる無保険者のうち、3200万人に保険加入の道が開かれます。

 採決されたのは昨年12月に上院が可決した法案とその修正案。いずれも小差ながら可決されました。上院案は大統領の署名を経て、近日中に成立します。修正案は上院で審議されますが、与党・民主党指導部は週内にも可決したい意向です。

 米国には国民皆保険制度がなく、公的保険は低所得者向けの「メディケイド」や高齢者・障害者向けの「メディケア」など一部に限られています。

 今回の法案は、全国民を対象とした公的保険制度の創設は見送ったものの、すべての個人に医療保険加入を義務付けました。保険購入が困難な低所得者などには補助金で支援するほか、新たに「保険取引所」を設け、保険料を低く抑えた医療保険を購入できるようにします。

 従業員が50人を超える企業には、従業員に医療保険を提供しない場合の罰則を強化。民間医療保険会社に対しては、社会問題化している既往症を理由とした保険金の支払い拒否を禁止しました。

 法案の実施には、今後10年間で9400億ドル(約85兆円)が必要。一方で、高額所得者への負担強化や医療行政の効率化などで、同時期に1380億ドル(約12兆円)の財政赤字削減効果があるとされます。



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