2010年3月20日(土)「しんぶん赤旗」
世田谷国公法事件・控訴審が結審
評価にたえる判決要求
宇治橋さん
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世田谷国公法弾圧事件の控訴審第3回公判が19日、東京高裁(出田孝一裁判長)で行われ、結審しました。判決は5月13日の予定です。
最終弁論では、弁護人11人が元厚生労働省職員の宇治橋眞一さん(62)の無罪を主張しました。
弁護人は昨年11月に最高裁大法廷が示した、公務員であっても地方議員のリコール(解職)請求の代表になることが可能とした判決を紹介。同判決はこれまでの判例を55年ぶりに覆し、公務員の基本的権利を一律に制限することは許されないとするものです。
弁護人らは「最高裁の変化や一審判決が根拠とした猿払事件の最高裁判決への批判的な研究成果は、傾聴に値する。高裁はこれと向き合い、宇治橋さんの行為が憲法で守られるべき行為なのか、はっきり示すべきだ」とのべました。
さらに弁護人は「マニフェスト選挙」と呼ばれた昨年の総選挙を例に、ビラ配布が民主主義社会で重要な役割を持っていることを強調しました。また、今回の控訴審で、申請したすべての証人の採用を出田裁判長らが却下したことにふれ、「証拠調べもすることなく、結論をきめてかかる、不公平な態度だ」と、批判しました。
被告人質問で、宇治橋さんは「公務員の政治活動が合憲かどうか、猿払事件判決から三十数年の時を超えて改めて問われている。高裁は社会的評価にたえうる判決を」とのべました。
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