2010年3月20日(土)「しんぶん赤旗」

日米同盟の「闇」

日本を新たな核戦争の拠点に


 外務省による「有識者委員会」が調査対象とした四つの「密約」は、いずれも日米同盟にかかわるものです。

 なぜ、日米同盟に「密約」という闇の部分が生じたのか。19日の衆院外務委員会で参考人として出席した元毎日新聞記者の西山太吉氏は、米戦略と憲法9条の平和主義や反核・非核の国民世論との間にあつれきが生じ、「それをカムフラージュするのが密約だった」と述べました。

 とりわけ、唯一の被爆国である日本国民の反核世論と、日本を対ソ連の核攻撃基地にしようという米国との矛盾は深刻でした。

 大平正芳元首相の秘書官を務めた森田一・元運輸相は、1963年4月に大平氏がライシャワー駐日大使に一人で呼び出されて、核搭載艦船・航空機の日本への寄港・通過は「事前協議」の対象である「イントロダクション」(核持ち込み)に当たらないとの日米合意を再確認した後、だれにも相談せず、ゴルフ中も「イントロダクション…」とつぶやいていたことを証言。大平氏は死去する直前の80年4月、伊東正義官房長官らに「国民に分かってもらえる方法はないか」と提起したものの、「それは難しい」との反応だったといいます。

 結局、大平氏らが問題を解決し得ず、国民を欺き続けるしかなかったのは、憲法や非核三原則を真に生かす方向ではなく、日米同盟を絶対化する立場から脱却できなかったからです。

 外務省の「密約」調査で岡田克也外相は、過去に核搭載艦船の寄港があった事実を認めました。同時に核密約文書である「討論記録」を確認しながら、「密約文書ではなかった」として、米側との核密約廃棄の交渉を行わない姿勢です。

 しかも、岡田氏は「鳩山政権は非核三原則を守るが、将来の政権はギリギリの判断をする」と述べ、将来的に核持ち込みを容認する可能性を示しました。これは、「必要があれば2・5原則にする」という東郷氏の意見書と重なります。

 核密約の存在を認め、廃棄する立場に立たない限り、過去の自民党政権でさえできなかった「非核2・5原則化」の危険もあります。米軍の核持ち込みを認めれば、日本が新しい形での米核戦争の拠点にされかねません。憲法を生かし、本当の意味で「非核の日本」をつくれるかどうかは、これからが正念場です。(竹下岳)



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