2010年3月15日(月)「しんぶん赤旗」

改憲手続き

国民投票法施行へ準備

総務省 投票年齢「20歳以上」に


 5月18日に施行期日を迎える改憲手続き法に基づく改憲のための国民投票法について、総務省が、投票年齢を「20歳以上」として同法を施行し、必要な政令の準備を進めていることが14日までにわかりました。

 国民投票法は本則で投票年齢を「満18歳以上」と規定。一方で、同法公布(2007年5月)から施行までの3年間に、公職選挙法上の投票年齢(20歳以上)や民法上の成人年齢との調整を行うとしていました。しかし、その議論がいまにいたってもされないため、本則と矛盾する「20歳以上としたものです。

 自民党が4日に開いた憲法改正推進本部の会合では、中山太郎前衆院憲法調査特別委員長、保岡興治前衆院議員らが国民投票法の「施行」の見通しなどを総務省担当者に質問。同省側は「20歳以上」を投票年齢として施行準備中と答えました。

 ところが、その会合に同席していた衆院法制局の担当者(法案作成を補佐)は、国民投票法の本則で「18歳以上」とした投票年齢を「20歳以上」と読み替える付則3条2項は、施行までの3年間に必要な法整備を講ずることを前提とした規定だと指摘。“必要な法制上の措置で何らの議論もなされていない現状は法の予定していない状態”とする趣旨の発言をしました。出席していた自民党関係者によると、会合では、総務省と衆院法制局との意見は「平行線」でした。


解説

強引な施行 矛盾深める

 総務省が国民投票法にもとづく投票年齢を「20歳以上」として準備していることについて、民主党の元憲法調査会所属議員の一人は「法整備が進んでいない現状では、投票権者の範囲が定まらないなど、改憲の発議はできない」と、総務省の意向に疑問を示します。

 鳩山政権で法令解釈担当大臣に就任した枝野幸男・元同党憲法調査会長は、改憲手続き法案の審議の中で、「法律上の義務として、『国は、(整備する)』とされているわけですから、3年以内に法整備することになる」(07年4月12日、衆院憲法調査特別委員会)と発言。また、法案提出者の自民党の船田元・衆院議員(当時)は「法整備はどこまでか、これは公選法、民法いずれも公布を考えている」(同前)とのべ、少なくとも3年間に公選法、民法の改正・公布が行われるとしていました。

 前出の衆院法制局の見解は、こうした立法当時の審議状況や、法案提出者の意思を踏まえたものです。

 法案作成にもかかわった民主党衆院議員秘書も、自著『Q&A憲法改正国民投票法』で「国民投票法の本体が施行されなければ国民投票が実施されることはありませんので、満20歳以上の有権者を対象に国民投票が実施されることはないはず」と述べています。

 3年間の「施行期間」に、何らの法整備が進まないまま法律が施行されることはありえず、結局「20歳以上」への読み替え規定は意味がないということです。強引な法の施行は矛盾を深めるだけです。(中祖寅一)



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