2010年3月13日(土)「しんぶん赤旗」

B型肝炎で和解勧告

北海道訴訟全国で初

札幌地裁「救済範囲広く」

原告ら たたかいこれから


 集団予防接種でB型肝炎ウイルスに感染した患者や遺族計57人が、国に総額19億9650万円の損害賠償を求めている北海道B型肝炎訴訟で、札幌地裁(中山幾次郎裁判長)は12日、双方に和解を勧告しました。全国10地裁でたたかわれている訴訟で、裁判所の和解勧告は初めてです。


 口頭弁論終了後の進行協議で、中山裁判長は「次回期日(5月14日)を目途に、和解協議に入れるか否かについて検討されたい」と勧告。和解協議に臨むうえで「本件訴訟の各争点については、その救済範囲を広くとらえる方向で判断し、それとの相関で、合理的な救済金額を定めるものとする」との指針を示しました。

 B型肝炎をめぐっては、最高裁が2006年6月に国の法的責任を認め、昨年11月には肝炎対策基本法が成立しました。

 しかし、感染被害者全体の救済は未解決のままで、国は全国のB型肝炎訴訟で解決の引き延ばしを続けています。

 昨年12月10日には全国一斉の追加提訴が行われ、原告は383人になりました。

 進行協議終了後の報告会で、原告団の高橋朋己代表(57)は「和解勧告はとてもうれしい。たたかいを支える多くのみなさんに感謝します。国は一刻も早く解決の決断を」と話しました。

 原告の女性(45)=札幌市在住=は「国は救済対象者の広がりを恐れていますが、それは国が負うべき責任です。命がかかっているので和解勧告はうれしさの一方、これからがたたかいの本番という思いです」と話していました。



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