2010年3月9日(火)「しんぶん赤旗」

カネも票も労組丸抱え

小林議員陣営への北教組違法献金

民主党の選挙実態

使途も不明 問われる体質


 民主党の小林千代美衆院議員(北海道5区)陣営が昨年の衆院選挙をめぐり、北海道教職員組合(北教組=連合・日教組加盟)から政治資金規正法に反する資金提供を受けていたヤミ献金事件。小沢一郎幹事長、鳩山由紀夫首相に続く「政治とカネ」の問題は、民主党の体質そのものが問われる事態です。事件の背景にある、票もカネも「労組丸抱え」という選挙の実態を取材しました。(阿曽隆)


ヤミ金1600万円 裏口座で管理

1人5〜10票・1000円の献金 演説会動員も

 「特定政党支持の悪弊を長年押しつけてきたことが根本にある。起こるべくして起きた事件だ」

 札幌市内に住む北教組の分会役員の男性が語ります。

 事件は、2008年12月〜09年7月までの間、北教組側が小林氏陣営に4回に分けて1600万円のヤミ献金を提供したというもの。小林氏陣営はこれを政治資金収支報告書に記載しませんでした。政治家個人への献金を禁じた政治資金規正法違反(企業・団体献金の禁止)などの疑いがもたれています。

 現金の受け渡しは札幌市内の北教組委員長室や、小林氏の選挙事務所内で行われたといいます。

 資金を要求したのは、小林氏陣営の選対会計担当で自治労北海道財政局長の木村美智留容疑者でした。木村容疑者は、これらを裏口座で管理し、選挙費用に充てたといいます。

 ヤミ献金で選対を支える「組合丸抱え選挙」の実態とは―。

 北海道の民主党や連合北海道は、衆院選の選挙区ごとに各組合の幹部らをふりわけ、責任を持たせていました。福田康夫首相の退陣で解散ムードが高まった一昨年9月、北教組は北海道5区の責任を担い、小林氏の選対委員長には、当時の北教組委員長(故人)が就任。09年6月に委員長が急死すると、長田秀樹容疑者(北教組委員長代理)が選対委員長に就きました。

 石狩市や江別市など北海道5区内の北教組は、数年前まで組織率約9割を誇る“強い組合”。小林氏の選挙区内の学校に勤務する組合員が証言します。

 「毎回の選挙では1人5〜10票を集め、支持者カードを組合に提出しなければなりませんでした。そのほかビラまきや、街頭演説会の動員、連合事務所に集められての電話かけなど。学校で組合員が集められ、候補者の小林氏があいさつに来ることもあった」

 各学校には「闘争委員」とよばれる事実上の選挙担当者がおり、動員などのほか1人1000〜1500円の献金も要求されるといいます。献金の使途報告などはいっさいありません。

 前出の組合員はいいます。「投票日前になると、一人一人に支持者カードやチラシ、文書類などを処分するように電話がいきます。北教組と民主党(かつては社会党)との不透明な関係は長年のしみついた体質なんです」

図


民主と労組 しみついた不透明さ

 民主党と北教組の癒着の温床となった特定政党支持の押しつけは、これまでにも問題となってきました。

 今年の参院選に立候補する民主党の輿石東参院議員会長(山梨選挙区)。6年前の2004年参院選では、輿石氏がかつて委員長を務めた山梨県教職員組合幹部と、「山梨県民主教育政治連盟」の幹部が、組合員から集めたカンパ1000万円を輿石氏を支援する政治団体の収支報告書に記載しなかった政治資金規正法違反で、罰金30万円の略式命令をうけました。

 輿石氏は、現在も日本教職員組合(日教組)の政治団体「日本民主教育政治連盟」の会長。同連盟には、8人の民主党議員が所属しています。

 小林氏の選挙区内の学校に勤務する組合員はいいます。

 「組合が一番熱心なのが選挙活動。衆院選だけでなく知事選や、道議の選挙も…。この事件を機会に組合は自浄能力を発揮し、特定支持政党押しつけをやめて組合本来の、自由で、子どもを第一にした活動を取り戻してほしい」



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