2010年3月9日(火)「しんぶん赤旗」

主張

政党“通信簿”廃止

政治買収そのものをやめよ


 日本経団連が政党“通信簿”による企業献金のあっせんを取りやめることになりました。

 日本経団連は自民・民主両党に実行を求める「優先政策事項」を示し、忠実に実行したかを評価して“通信簿”を付け、それに従って企業に献金を促してきました。

 財界が圧倒的な資金力にものを言わせて札束で政策を買収するシステムは、国民の強い批判にさらされてきました。

消費税増税も改憲も

 財界は1990年代にも一度、企業献金あっせんをやめています。ゼネコン汚職など金権腐敗に国民の批判が沸騰し、「自由経済体制を守る」という名目でやってきた企業献金のあっせんを続けられなくなったためです。

 このとき財界は企業献金そのものについても次のような方針を表明していました。「公的助成や個人献金の定着を促進しつつ、一定期間の後、廃止を含めて見直すべきである」(経団連「企業献金に関する考え方」)

 当時の細川連立政権は「政治改革」と称して小選挙区制とセットで政党助成金を導入し、政党と政治資金団体への企業・団体献金は見直すと約束しています。

 この約束は完全にほごにされ、自民も民主も政党助成金と企業・団体献金の両方をポケットに入れ続けてきました。その上に2004年、当時の奥田碩日本経団連会長(トヨタ自動車会長)が企業献金あっせんを再開させました。

 単なる再開ではありません。

 政党に突きつける「優先政策事項」には、当初から法人実効税率の引き下げと消費税増税、労働法制の規制緩和を明記するなど、財界の身勝手な要求が並びました。その後は日米同盟を基軸にした外交・安全保障を強調し、9条を標的に改憲を求めるまでエスカレートしています。

 財界が描いた「構造改革」、消費税増税を実行する「気概と政策を持つ政党に対して」企業献金で支援したいと奥田氏はのべています(『文芸春秋』04年1月号)。「政策本位」を標ぼうし、あっせん対象を過去のように自民に限らず民主も含め、財界の手のひらの上で「二大政党制への流れ」を加速する狙いからです。

 “通信簿”方式は自民党政治がゆきづまる中で「二大政党」にひもを付け、財界が権益を温存し拡大するテコとしてつくった政策買収システムにほかなりません。

 しかし、財界が司令塔となって推進した「構造改革」路線は、昨年の総選挙で国民が下した自公政権退場の審判で大きな挫折に見舞われました。雇用を破壊して利益を増やし、アメリカ頼みで過去最高益を上げる財界の戦略も、リーマン・ショック以降の経済危機で大もとから崩れています。

ただちに全面禁止を

 日本経団連執行部の自民党への肩入れが、今回の献金あっせんの取りやめにつながったという議論がありますが、極めて表面的な見方です。根底には財界が求める政策と世論との矛盾がかつてなく大きくなっている実態があります。

 あっせんをやめるとはいえ、日本経団連は企業献金についての考え方自体を変えたわけではありません。「政治をカネで買う」やり方そのものをやめるべきであり、政治の側も法律でただちに全面禁止に踏み切ることが必要です。



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