2010年3月8日(月)「しんぶん赤旗」

チリ地震・津波から1週間

「流速」被害 対策が課題


 チリ地震で発生した津波災害から7日で1週間。津波の危険は、高さだけでなく、流れ・流速も大きくかかわっていながら、その対策が立ち遅れています。

 農林水産省のまとめによると、チリ大地震の津波で養殖施設や水産物の被害が確認されているのは、青森、岩手、宮城、福島、三重、徳島、高知の各県。被害額は調査中の地域も多く、岩手、宮城からの報告分だけで合計14億円を超えました。

 岩手、宮城の三陸沿岸部では、入り江の漁港を中心に推定1〜2メートルの津波が押し寄せ、岩手県陸前高田市の両替漁港では1・9メートルに達したことが、仙台管区気象台と盛岡地方気象台の現地調査で判明。仙台管区気象台は「三陸は湾が小さく食い込んでいるので、場所によっては2メートルあった」とみています。

 津波防災研究者の今村文彦東北大学教授は「津波の高さに関心が高いが、流れ・流速が強くなる場合があることに注意が必要です。この流れで養殖いかだや漁船に被害がでています」と話します。

 中央防災会議専門調査会の「1960年チリ地震津波」報告書(2010年1月)も、「津波の危険性はその高さで評価されることが多いが、チリ地震津波のような長周期の津波では、それに伴う流れが問題となる」と指摘。142人の死者をだした60年のチリ地震津波で大規模な地形変形や破壊などをひきおこした流速の予測や完全な再現も未解決で、津波監視や対策も今後の課題としています。(宇野龍彦)



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp