2010年2月25日(木)「しんぶん赤旗」

トヨタ車 電子制御の欠陥指摘

リコール問題 米公聴会始まる


 【ワシントン=西村央】米下院のエネルギー・商業委員会は23日(日本時間24日未明)、米国トヨタ自動車販売のレンツ社長が出席して大規模リコール(回収・無償修理)をしたトヨタ車の安全問題についての公聴会を開きました。24日(同25日未明)には本社の豊田章男社長が出席する下院監督・政府改革委員会での公聴会と続き、欠陥の隠ぺいはなかったのか、「意図しない」急加速と電子制御システムの関連などでの質疑が交わされます。

 23日の公聴会では、エネルギー・商業委員会のワックスマン委員長が、トヨタが電話のホットラインだけでも、2600件の苦情を受け、このうち700件以上が事故につながっていると指摘。トヨタがやったことは、最初はドライバーを責め、次にはフロアマットの不備とし、3番目にアクセルペダルの不具合としてきたことだと批判しました。「電子制御の欠陥の可能性についても真剣な調査をすべきである」と主張しました。

 レンツ社長は、証言のなかで、対応が遅れた問題について「社内や規制当局、それに顧客とのコミュニケーション不足が問題を深刻化させた」と述べました。電子制御の欠陥の可能性については、「調査を始めたところ」としました。

 同委員会で証言したラフード運輸長官は、「意図しない急加速問題のすべての疑問が晴れたわけではない」と指摘。安全確保のため全面的な調査を行っていることを明らかにしました。

解説

ものづくりの姿勢問われる

 車の暴走を体験したユーザーによる訴えはアメリカだけではなく、日本国内でもたびたび起きてきました。国土交通省の資料によるとAT(自動変速)車の暴走事故は2000年度592件(うちトヨタ165件)起きています。

 しかし、「こんな車をつくったメーカーは許せない」とユーザーがいくら訴えても、メーカーは運転者の「操作ミス」と取り合わず、同省は、メーカーの報告をうのみに原因究明に本腰を入れてきませんでした。

 コンピューター制御を搭載したハイテク車の欠陥を素人が立証するのはほとんど不可能です。裁判に訴えても、事故の再現が難しく「欠陥自動車は裁判で勝てない」という状態でした。結局、「死の恐怖」を体験した運転者が泣き寝入りを強いられ「交通事故と欠陥車」との因果関係は「闇」に葬られてきたのです。この構図が、アメリカで告発され、批判にさらされているのです。

 トヨタでは2007年のリコールの際、米当局との交渉で、92億ドル以上の経費を節約できたと報告する社内文書が見つかりました。

 豊田章男社長は、急激な業績拡大がリコール問題の原因としましたが、「乾いたタオルを絞る」飽くなきコスト削減と品質問題には触れていません。「安全な車をつくる」という、トヨタのものづくりに対する姿勢そのものが問われているのです。(遠藤寿人)


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