2010年2月22日(月)「しんぶん赤旗」

未解明の小沢氏不透明資金

事件は終わっていない

国会で全容解明を


 民主党の小沢一郎幹事長は、みずからの資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件(虚偽記載)について、「強制力を持った捜査ですべて調べていただいて、その結果、不正なカネももらってないし、不正なこともしていないことが明らかになった」(14日、福岡県久留米市)と、事件は終わったかのような態度です。しかし、現・元秘書3人の起訴事実だけでも20億円を超すなど、不透明なカネの流れは、ほとんど解明されていません。(「政治とカネ」取材班)


虚偽記載21億円

 陸山会の会計責任者の大久保隆規被告(公設第1秘書)、会計事務担当だった石川知裕被告(衆院議員)ら3人に対する起訴事実によると、東京都世田谷区深沢の秘書寮の土地購入をめぐる4億円など、陸山会の政治資金収支報告書の虚偽記載額は21億6900万円にのぼります。

 これは、立件された額としては史上最高です。小沢氏は「不正なカネはない」と繰り返しますが、中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)の裏献金など、解明はこれからの課題です。

不記載の4億円

 捜査の過程で、世田谷区深沢の土地購入にあてられた4億円とは別に4億円が2005年3月に陸山会の口座に入金され、直後の5月に全額が引き出されていることも判明しています。

 起訴事実には含まれていませんが、この資金移動も収支報告書には記載されていません。

 小沢氏は、このカネについて、東京地検特捜部に「亡くなった知人から預かったもので返した」と説明しているといいます。

 この「知人」というのは、小沢氏が実質的に運営する関連政治団体「改革フォーラム21」や「改革国民会議」の代表者や会計責任者を務めていた元側近。06年9月に死亡しており、どういうカネなのか、なぜ預かる必要があったのかなど、いまでは確かめようがありません。

使途不明15億円

 「改革フォーラム21」をめぐっては、04年10月に、その銀行口座に計約15億円が入金され、約1カ月後までにすべて引き出されていたこともわかっています。

 この資金の出入りも収支報告書には記載がなく、原資や目的も不明なままです。

 関連が疑われているのは、小沢氏が党首を務めていた自由党(03年解散)が02年7月と12月の2回にわたって藤井裕久幹事長(前財務相)に支出した計15億2090万円の「組織対策費」です。

 組織対策費は、領収書があれば個人にも支出でき、使途の説明は不要とされます。しかも、すべて政党助成金でした。

 自由党と民主党の合併する動きが表面化する直前だったため、05年の国会で、「自由党に交付された助成金の返還逃れではないか」と指摘されたことがあります。

 当時、藤井氏は、この約15億円について、「ぼくはもらっていない。幹事長である以上、名前も出したが、よく知らない」とマスコミの取材に答えています。

 小沢氏をめぐる政治資金、政党助成金の不透明な流れ。国会で徹底的な真相解明が必要です。

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