2010年2月20日(土)「しんぶん赤旗」

アジア・太平洋地域

極貧 2100万人増

経済危機の影響

国連開発計画など 社会保障拡充求める


 国連開発計画(UNDP)とアジア開発銀行(ADB)は17日、世界的な経済危機の影響で、「極度の貧困」状態の人々が、アジア・太平洋地域で2100万人増加するとの共同報告を発表しました。また、各国政府に対し、社会保障政策に力を入れるよう求めました。


 報告は、国連が2000年に定めた「ミレニアム開発目標(MDG)」の達成状況を評価するために作成したもの。MDGは、極度の貧困の克服に向け、2015年までに、極貧人口を1990年比で半減することなどの目標を示しています。

 報告は、経済・金融危機で、1日1・25ドル(115円)未満の収入の人々が09年に1700万人増え、さらに10年に400万人増加するとの見通しを示しました。最も影響を受けているのは女性で、大部分が低賃金の単純労働に従事しており、景気の後退で解雇されやすいといいます。

 国連のアジェイ・チバー事務次長は、「アジア地域は経済的に発展したが、東欧やラテンアメリカなどと比べても、社会保障制度が劣っている」と指摘。「社会保障を拡充しなければ、経済危機や自然災害で、貧困に逆戻りする。回復は容易ではなく、MDGの達成は困難になる」と述べました。

 報告書によると、アジア地域の失業者や不完全雇用者のうち失業手当受給者は20%にすぎません。年金が支給されている高齢者も30%にとどまっています。

 ADBのウルスラ・シェーファープロイス副総裁は、「各国の景気刺激策のほとんどが、社会保障以外に焦点を当てている」と指摘。社会保障予算を大幅に増やすよう求めました。



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