2010年2月19日(金)「しんぶん赤旗」

米「核態勢見直し」方針

核兵器「役割低下」図る

現存分は維持 通常戦力を強化


 【ワシントン=小林俊哉】米国のオバマ政権は3月に議会に提出する「核態勢見直し」(NPR)報告で、現存核兵器を維持する一方、通常兵器の新開発・改良によって、国防態勢に占める核兵器の比重を小さくする方針です。タウシャー国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)が17日、バージニア州アレクサンドリアでの講演で明らかにしました。


 タウシャー氏は「オバマ政権は、核抑止を安全、確実、効果的に維持しながら、核兵器の役割、数を低下・減少させるよう努める」との基本方針を改めて表明。「より信頼できる抑止力」を維持するために、現存する核兵器の保全強化、核研究施設などのインフラ整備などに今後5年間で50億ドル(約4500億円)規模の予算増額を目指すと強調しました。

 核兵器への依存を弱めるために、ミサイル防衛(MD)システムの開発・改良、通常兵器の精度向上などに力を入れると主張。「われわれは新しい核兵器能力を追求しているのではない」として、新型核兵器を導入する計画(信頼できる交代用核弾頭=RRW=計画)については「死んだ」と述べました。

 同氏は「われわれの主眼は、もはや(米ソ対決時代のような)2大国間の大規模核紛争を抑止することではなく、核が一発でも使用されるのを阻止することにある」と主張。米ロ核軍縮交渉、4月の核拡散防止サミット、5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議のそれぞれの場を通じて、核不拡散体制の強化に努めるとしました。


 核態勢見直し(NPR) 米国の向こう10年の核戦略を決定し、議会に報告を提出する一連の作業。前回ブッシュ政権時の02年のNPRでは、少なくとも7カ国に対する核兵器使用計画を盛り込みました。オバマ政権は、昨年4月に打ち出した「核兵器のない世界」構想をもとに策定に着手。今月提出の予定がずれ込んでいました。



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