2010年2月19日(金)「しんぶん赤旗」

主張

派遣法改正諮問

これで“使い捨て”なくせるか


 長妻昭厚生労働大臣が、今国会に提出する労働者派遣法改正の法案要綱を作成し、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)に諮問しました。旧政権時代の相次ぐ「規制緩和」で派遣労働者をモノのように「使い捨て」にした状態を一日も早くなくしてほしい―。大企業による無法な「派遣切り」で仕事も住まいも奪われた労働者たちの思いは切実です。法案要綱は、この願いを真剣に受けとめたとは思えないものです。

昨年末の答申そのまま

 「何も引かず、足していない」。労政審で法案要綱を説明した厚労省の担当者は、こう語りました。昨年末の労政審答申をそのまま法案化したという意味です。ウイスキー・メーカーのコマーシャル「なにも足さない。なにも引かない」とそっくりのことば遣い。派遣労働者が二度と非人間的に扱われることがないように真剣な検討が求められる法案づくりが、こんな軽さでいいのでしょうか。

 法案要綱の作成にあたって、厚労省には、「これでは使い捨てはなくならない」と批判されていた労政審答申の、大穴をふさぐことが求められていました。

 なかでも求められたのは、製造業派遣の「原則禁止」です。法案要綱は、派遣元に「常時雇用する労働者」を除くとしています。「常時雇用(常用型)」は雇用の安定性があるというのが理由ですが、実態は2カ月などの短期雇用を反復して1年を超えている、あるいはその見込みがあれば「常用型」というのが厚労省の解釈です。

 「常用型」派遣は「派遣切り」のときも、もともと不安定な「登録型」と同じように解雇されました。賃金も年収300万円未満が57・5%です。典型的な低賃金、不安定雇用です。これを禁止の対象外にするなら、「登録型」をみんな短期契約の「常用型」に切り替えれば、これまで同様に大っぴらに使い捨てできることになります。これでは「原則容認」です。製造業派遣は全面禁止すべきです。

 登録型派遣の「原則禁止」も問題です。専門的な知識、技術、経験を必要とする業務(専門26業務)を禁止の対象外にしています。専門26業務のなかには、電子計算機やタイプライターを操作する「事務用機器操作」など、いまでは一般業務としかいえないものがあります。専門業務として扱えば3年の派遣期間制限を逃れることができるので、100万人といわれる専門26業務で働いている労働者のうち、「事務用機器操作」が45万人という圧倒的な数です。

 日本共産党の志位和夫委員長が衆院予算委員会(8日)でこの問題をとりあげたさい、長妻厚労相は、適正化の通達を出したといい、鳩山由紀夫首相も「そのままにしておいていいのか、しっかり検討する必要がある」と答えました。専門26業務が大穴にならないように見直し、大幅に縮小すべきです。

財界のゴリ押しに屈した

 これほど問題があるのになぜ昨年末の答申通りなのか。長妻厚労相は公労使の「ぎりぎりの合意」といいますが財界のゴリ押しに屈したといわれても仕方ありません。

 しかもこの製造業派遣と登録型派遣の「原則禁止」の実施時期が、法案要綱では3年後、一部5年後になっていることは、あまりにも財界・大企業のいいなりです。即刻実施に改めるべきです。



もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp