2010年2月15日(月)「しんぶん赤旗」

主張

機密費問題

全容解明はあいまいにできぬ


 鳩山由紀夫内閣がこのほど、外務省の報償費(機密費)の一部が、かつては首相官邸の「外交用務」に使われていたことを認める答弁書を、国会に提出しました。かねて指摘されてきたように、外交機密費が上納されていたことを、はじめて「確認」したものです。

 外務省の予算が官邸に上納されていたこと自体、財政法に違反する大問題です。ところが鳩山内閣は過去の上納は認めたものの、現在は行われていないとするだけで、外交機密費や官房機密費が実際にどのように使われているのか明らかにしません。機密費の全容解明はあいまいにできません。

領収書の要らない支出

 機密費は、だれに何のためにいくら使ったのか内容を明らかにする必要がない支出とされています。外務省の外交機密費が金額としては最も多く、かつては70億円以上あった外交機密費の約3分の1が官邸に上納されていたといわれ、官邸の裏金となってきました。外交機密費は現在でも毎年50億円近くが支出されています。

 一方、首相官邸の官房機密費は14億円あまりが計上され、一部が内閣の情報調査室に割り振られる以外は12億円以上が内閣官房長官のサインひとつで支出できる、文字通り秘密の予算となっています。用途が不明で領収書も公開されないため、これまでたびたびその使途が問題になってきました。

 かつて官房長官経験者などから、機密費が「外遊する国会議員へのせんべつ」「国会対策」「マスコミ対策」などに使われたとの証言もありました。日本共産党が再三国会でも追及し、機密費が野党議員の「背広代」や消費税導入の際の「国会対策」などに使われた疑惑を明らかにしました。その後、外交機密費も官房機密費も減額されたものの支出は続き、その全容はいぜん明らかにされていません。

 実際、昨年の総選挙直後には、当時の官房長官(自民党)によって、2億5000万円もの官房機密費が引き出されていたことが明らかになっています。使途は不明です。鳩山内閣は支出の事実は認めたものの使途については調べようともせず、それどころか鳩山内閣になってからもたびたび官房機密費を支出していることが明らかになっています。その使途さえ明らかにしないのは民主党がかつて、機密費の記録を作成し、公表を義務付ける法案を提出していたことをも裏切るものです。

 今回、鳩山内閣が外交機密費の上納の事実を認めたのは、不明朗な予算の支出は許さないとの国民の批判を受けたものです。しかしそれならかつての主張どおり、機密費の全容を明らかにすべきです。過去の上納の事実を確認したといいながら、使途の実態を国民に明らかにせず、財政法に違反するかどうかも追及しないというのでは、国民の批判にまともに応えたことにはなりません。

使途不明の支出にメスを

 外交機密費であれ、官房機密費であれ、財源は国民の税金です。だれが何の目的でいくら使ったのか、国民に隠れて巨額の支出を続けることは許されません。

 鳩山内閣は自らの公約を守って、機密費の全容を国民に明らかにすべきです。財政は国の政治の根幹です。使途不明の機密費をはじめ、歳出のあらゆる分野のムダに、メスを入れるのは当然です。



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