2010年2月15日(月)「しんぶん赤旗」

鳩山政権の米海兵隊「抑止力」論

元政府高官も異論


 米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「移設先」を検討する与党の沖縄基地問題検討委員会の会合が17日に行われます。

 「移設先」候補とされた自治体は、いずれも受け入れを拒否しているにもかかわらず、鳩山政権は「移設先」探しに固執。普天間基地の「代替施設なき返還」の路線に転換しない根本には、日本防衛とは無縁の「侵略力」である米海兵隊の日本駐留を、「抑止力」と肯定するところにあります。

 しかし、こうした「抑止力」論に各方面から苦言や異論、怒りの声があがっています。

検証が必要だ

 柳沢協二・前内閣官房副長官補(現防衛研究所特別客員研究員)は、「(米海兵隊は)特定地域の防衛に張り付くような軍種ではない」「あいまいな方が抑止力強化に役立つと言うかもしれない。だが、地元にとって基地はあいまいでは許されない現実の負担だ」と、「抑止力」の検証を提言しています(「朝日新聞」1月28日付)。

 沖縄国際大学の佐藤学教授は、「鳩山首相は盲目的に『抑止力』と言っている。日本の米海兵隊駐留は、日米安保・日米同盟堅持のための政治的な“貢ぎ物”でしかない」と批判。「『移設先』探しは結局、『ないので沖縄にお願いします』とするためのものではないか」と指摘しました。

 安全保障の問題に詳しい元政府高官は、「日本共産党の志位和夫委員長は米海兵隊を『侵略力』と言ったが、確かに『侵略力』だ。それは当たり前のこと」と述べ、「民主党政権になってもっとアメリカと対等に議論をするかと思ったが、自公政権と一緒だ。『抑止力』というならちゃんと説明すべきだ。中国と何かあったとして、海兵隊2000〜3000人を送り込んでも解決にはならない」と苦言を呈しました。

 「県民は『抑止力』なんて承知しない」と怒りをあらわにするのは、沖縄県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長です。

 「1959年の石川米軍機墜落事件や95年の米海兵隊の少女暴行事件など、米軍基地はたくさんの迷惑を与えた。『抑止力』とは基地押し付けのごまかしの手法だ」と語っています。(洞口昇幸)



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