2010年2月14日(日)「しんぶん赤旗」

米主導 最大の軍事行動

アフガン南部 タリバン拠点“掃討”

民間人犠牲 懸念の声

　アフガニスタン駐留米軍と北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）軍は１３日未明、反政府勢力タリバンの拠点とされる南部ヘルマンド州で、アフガン軍と合同で大規模な軍事掃討作戦を始めました。２００１年の侵攻開始以来、最大規模の作戦です。現地では、罪のない民間人が犠牲になるとして懸念の声が出ています。（島田峰隆)

　現地からの報道によると、作戦には１万５０００人が参加。うち４５００人が米海兵隊、１５００人がアフガン兵といいます。オバマ米大統領が昨年１２月に３万人の追加増派を決めて以来、初めての大規模な掃討作戦となります。

　作戦の主要対象地域は、同州中部のマルジャです。同市上空には１３日未明、多くのヘリコプターが飛来。米海兵隊部隊が町に降下し、数波にわたって作戦を始めました。タリバン兵との間で銃撃戦が散発的に起きているもようです。ヘリからのミサイル攻撃の爆発によるせん光が目撃されたといいます。

　一方、マルジャ北方のナドアリでは、４０００人の英軍を中心とする部隊がヘリや戦車などで掃討作戦を始めました。

　マルジャの人口は近郊を含めると約１２万人に上ります。米軍は、数カ月前から掃討作戦を行うと宣伝するチラシを配布していました。しかし米軍の動きを鈍らせるためにタリバンが道路脇に設置した爆弾の被害を恐れて、最大で１０万人が避難せずにマルジャ市内に残っているといいます。

　国際英字紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューン１３日付によると、アフガンのアトマール内相は１１日、マルジャの主要部族の会議で長老３５０人と会見し、近く掃討作戦が行われることを説明しました。

　ある長老は会見後、「人々は、とりわけ民間人が殺害されることに本当に恐怖感を抱いている」と語りました。会見の場では、家宅捜索を行う場合は、欧米の兵士ではなくアフガン人が行うべきだという要求も出たといいます。

　マルジャは、アフガン南部のタリバンの拠点で、資金源である麻薬の生産や密輸の中心地です。