2010年2月13日(土)「しんぶん赤旗」

診療報酬 急性期に財源集中

10年度改定案 慢性期医療削る


 中央社会保険医療協議会(中医協)は12日、医療機関に支払われる医療の公定価格である診療報酬の2010年度改定案を長妻昭厚労相に答申しました。

 医師不足が深刻な救急・産科・小児科・外科に財源を重点的に配分し、▽救命救急センターの入院料加算▽妊産婦や小児の救急受け入れに対する加算▽手術料―などを引き上げます。病院勤務医の負担軽減策としては、事務作業補助者の配置に対する評価の引き上げなどを行います。

 救急車が搬送先を見つけられず妊産婦が死亡するなどの事態が相次ぎ、国民の不安と怒りが高まっていました。そうした世論を受け、緊急の手当てを行った形です。しかし、全体の改定率が0・03%と実質ゼロで医療全体の底上げには足りないため、急性期医療を担う大規模病院に集中的に財源が投入される一方で、慢性期の患者や、その医療を担う中小病院と診療所に厳しい改定となっています。

 慢性期の医療を担う療養病棟の入院基本料は、「医療の必要性が少ない」とされる患者が2割以上入院していると大幅に引き下げられます。認知症病棟の入院料も61日を超すと減額されます。一般病棟に75歳以上の患者が90日を超えて入院すると入院料が激減する後期高齢者特定入院基本料は、対象が全年齢に拡大されます。

 病院(200床未満)の再診料が引き上げられる一方、地域医療を担う診療所(開業医)の再診料は引き下げられました。看護師不足のもとで看護師配置の手薄(患者15人に看護師1人)な小規模病棟の入院基本料も減額。地域医療を支える中小病院や診療所の経営圧迫は、「医療崩壊」を加速させかねません。



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