2010年2月11日(木)「しんぶん赤旗」

「個所付け」

民主党の「私物化」に批判噴出

国会に提出し審議せよ


 道路や河川工事など公共事業が実施される「個所名」を明示して配分予算額を決めることを、通称「個所付け」(かしょづけ)といっています。この「個所付け」の情報を民主党が「私物化」していると批判が噴出しています。

 これまで「個所付け」は予算成立後に政府(国土交通省など)から公表されてきました。民主党が1月29日、党本部に都道府県連の担当者を集め、2010年度予算案の国土交通省が所管する個別の公共事業の予算額を明示した書類を配布し、「『自治体には資料は渡さず、口頭で伝えるように』などの注意事項を伝えた」ことが報道されました。

 これに対し、自民党は「公務員の守秘義務や財政法に違反する」と批判しています。

あしき遺産

 自民党政権の時代から「個所付け」が特定の“族議員”の要望を受け入れるなど、利益誘導の手段になっているのではないか、予算策定過程が不透明だなど、その問題点が指摘されてきました。こうした“あしき負の遺産”を正し、個別の公共事業の配分予算額は、国会に提出し、審議してこそ、透明化がはかれます。

 民主党の馬淵澄夫国土交通副大臣も昨年12月14日の記者会見で直轄国道の予算配分について「国会の審議に資する形で一定程度、(予算を付ける)個所を提示する」と明言していました。

 今回の「個所付け」情報は、政府(国土交通省)が、各地方整備局を通じて地方自治体と調整している途中経過の情報で、こうした国土交通省と地方自治体との調整は従来から行われてきました。行政情報として、本来なら表に出ないものでした。

 それを、民主党が県連に渡し、あたかも民主党県連や議員が予算を差配しているかのように記者会見を開いたり、地方自治体に「内示」として伝えたりしたのですから、「利益誘導、予算の私物化、国会審議の形骸(けいがい)化だ」と批判されても仕方のないものです。

集票の道具

 なぜこのような事態になったのか―。それには背景があります。小沢一郎民主党幹事長が昨年12月16日、鳩山首相と会談し党に寄せられた陳情を踏まえ、政府の10年度予算への反映を申し入れました。党本部と都道府県連への陳情は2800件、重点要望以外は各府省の政務三役に取り次ぐ案件と、政権公約に反し幹事長室止まりで政府に伝達しない案件に仕分けした(中国新聞09年12月16日付)とされています。

 この重点要望の中には、整備新幹線や高速道路会社による高速道路建設整備の推進などの大型公共事業の要望も含まれていました。参院選挙をひかえ、自民党政権と同様に公共事業の予算配分を集票の道具にしようとする小沢氏の選挙対策が色濃く透けて見えます。

 ここには「コンクリートから人へ」を掲げ、「財政を透明にして、国民の政治に対する信頼を高める」とした民主党の選挙公約との矛盾があります。

 国民の願いに応えて、民主党が各県連に渡した問題の資料を国会に提出するとともに、公共事業の個別事業の審議ができるよう「個所付け」資料を全面的に提出すべきです。(党国民運動委員会 高瀬康正)



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