2010年2月2日(火)「しんぶん赤旗」

農家の年間所得

水田たった39万円

コメ作れどメシ食えん


 農水省がまとめた2008年の農家個別経営統計によると、水田に稲や大豆、麦を作付ける「水田作経営」の農家の年間所得は、米価の回復により前年比5・6%増となったものの、平均39万円にとどまりました。兼業農家が多い都府県は33万円、専業農家が多い北海道は386万円。

 農家数の1割にも満たない、5ヘクタール以上を経営する層でようやく300万円を超える程度です。専業におこなう20ヘクタール以上規模の所得は1174万円になりますが、1人当たりでは410万円でした。

 0・5ヘクタール未満の兼業農家は赤字です。農外所得によって水田を維持する形となっています。

 麦や豆類、バレイショ、カンショ、お茶などを栽培する畑作経営は平均230万円となり前年比4・9%減少しました。ガソリンや重油代、肥料代が上昇し経費が15%も増えたことが響きました。畑作が多い北海道では同3・3%減の786万円、お茶やカンショを多く栽培する九州では同16・5%減の132万円でした。

 また、えさの高騰があった畜産・酪農経営は総じて厳しい状況となり、肉牛経営は繁殖牛が106万円、肥育牛が166万円となり前年にくらべ半減、養豚も11%減の755万円でした。酪農は16・5%減少して419万円でした。

 野菜は露地栽培が178万円、ハウス栽培が365万円にとどまりました。果樹は157万円、花は露地栽培が216万円、ハウス栽培が266万円でした。


再生産できる価格・所得補償を

 農民運動全国連合会の笹渡義夫事務局長の話

 生産者米価は09年の春以降に大暴落となり、08年時点よりさらに下がっている。鳩山内閣は、今年産から米の「戸別所得補償」だというが、補てん金を見込んで大手業者を中心に買いたたきが行われる可能性がある。

 戸別所得補償の補てん水準は低く、全国一律のため多くの産地で生産費割れとなる。さらに政府は外国産米を従来どおり輸入し、国産米の買い支えをしない方針だ。米価下落のなかで農家は減り、補てんの財源ばかりふくらみ、所得補償制度も破たんするのではないか。それを農協も農家もみんな心配している。

 えさ高、輸入自由化のなかで畜産もひん死の状況だ。民主党のマニフェスト(政権公約)では畑作・果樹や畜産なども戸別所得補償するというが、民主党内から“なじまない”という声がすでにでている。食料主権のもと、野放しの輸入を規制し、再生産できる価格・所得政策が必要だ。



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