2010年1月31日(日)「しんぶん赤旗」

ヘリパッド建設

抗議の住民を提訴

沖縄防衛局 弁護団ら取り下げ要求


 防衛省沖縄防衛局は29日、沖縄県国頭郡東村高江で日米両政府が進める米軍ヘリパッド(着陸帯)建設をめぐって抗議と監視の座り込みを続ける住民運動の「排除」を理由に住民2人を那覇地裁に提訴しました。

 同局はヘリパッド建設に反対する高江の住民ら14人を相手に「通行妨害禁止」を求めて2008年11月に那覇地裁に仮処分申請。同地裁は昨年末、住民団体の共同代表2人に通行妨害禁止を命じる決定をしました。

 ヘリパッドいらない住民の会、同弁護団は同日、「司法手続きを利用した弾圧行為」と緊急声明を出し、提訴の取り下げを求めています。

 住民側は仮処分を不服として、同地裁に提訴命令を申し立て、地裁も沖縄防衛局に提訴するよう命令していました。

 国側が提訴しなければ共同代表2人にたいする「通行妨害禁止命令」は取り消されます。このため、住民側からは政権交代を機に沖縄防衛局の仮処分申請の取り下げ、提訴断念を求める動きがありました。


解説

負担軽減の公約に逆行

 沖縄防衛局による住民提訴に住民、県民世論は強く反発しています。

 

 今回提訴された住民団体の共同代表の一人、伊佐真次さんは「住民排除の仮処分は前政権が起こしたもの。この不当仮処分命令を鳩山政権が引き継ぐことは異常だ。鳩山政権は新基地建設など米軍再編問題で県民の負担軽減を口にしてきたはず。提訴は明らかにこれに逆行するもので絶対に容認できない」と提訴の即時取り下げを求めています。

 地元マスコミも「新政権で裁判の妥当性を検証した様子はみられない。民主党県連からも提訴撤回の声が上がっており、政府は主体的に提訴の是非をいま一度検討することが求められる」(琉球新報30日付)としています。

 鳩山政権は、新基地建設問題でも「県民の声を尊重する」と言いながら名護市長選の結果を「斟酌(しんしゃく)しなければならない理由はない」とし、さらには「法的措置」「強制執行」もありえるなどと発言しています。今回の提訴も米軍基地のために県民を強権的手段で排除するのもいとわない立場を改めて浮き彫りにしました。県民世論に背を向ける鳩山政権の姿を重ねて示しています。(山本眞直)



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