2010年1月29日(金)「しんぶん赤旗」

主張

消費税

増税の競い合いに展望はない


 「消費税の議論は避けて通れない」と繰り返す仙谷由人行政刷新・国家戦略担当相に続いて、鳩山政権の内部で消費税増税への動きが加速しています。

 国家戦略室は仙谷大臣ら閣僚と研究者らでつくる「中期的な財政運営に関する検討会」を、25日からスタートさせました。

 この検討会と政府税制調査会の専門家委員会の議論で消費税増税に踏み込む可能性があります。

自民と民主が掲げれば

 昨年の総選挙では自公の庶民への負担増路線が大きな焦点になりました。総選挙で厳しい審判を受けたにもかかわらず、自民党は一片の反省もなく、消費税増税に取り組むよう政権に迫っています。

 一連の動きを受け、大塚耕平金融副大臣は25日、次のようにのべました。

 「次の総選挙では与野党とも(消費税を)何%上げて、何に使うのかを明確に掲げて選挙をできそうな雰囲気になってきた」―。自民と民主の「両党が(増税を)掲げれば消費税は上がる。そういう局面になりつつあるのは一歩前進だ」とまで語っています。

 かつて野党の民主党は自公政権に消費税増税を迫り、増税の「競い合い」を演じました。攻守を逆にして、まったく同じ構図が繰り返されようとしています。

 鳩山政権は「4年間は消費税を上げない」と公約しました。国民の多くは政権の財源策に不安を持ちながらも、これを支持しています。総選挙が4年後とは限りません。一連の動きは、この公約さえ風前のともしびにするものです。

 鳩山政権が編成した来年度予算案は、44兆円を超える借金と8兆円もの「埋蔵金」に頼った、先の見通しのない予算案になっています。それは何より、巨額の軍事費を温存し、年間7兆円もの大企業・大資産家向けの過剰な減税に手を付けられないという、致命的な弱点にとらわれた結果です。

 消費税増税の口実は社会保障の財源です。しかし、消費税は「非正規切り」に遭った失業者や生活保護の受給者にも、情け容赦なく課税される過酷な税金です。低所得層ほど負担が重い消費税は、社会保障の効果をそぎ落とす福祉破壊税にほかなりません。

 峰崎直樹財務副大臣は21日の会見で、前政権が強行した改定所得税法の「付則」を廃止するつもりがないとのべました。付則は11年度までに消費税増税の法律を成立させるとともに、法人実効税率の引き下げを盛り込んでいます。峰崎副大臣は、これからつくる政権の税制ビジョンと付則の中身は「ほとんど同じこと」だと言明しています。

世論と運動を急速に

 政権の税制構想には、労働者や中小企業にしわよせして巨額の内部留保をため込んできた大企業への減税が、もう組み込まれているという表明です。庶民には消費税の増税、税制や社会保障の面で大きな社会的責任を果たさせるべき大企業には、いっそうの減税で奉仕する―。どちらを向いて政治をやっているのでしょうか。

 「政治を変えたい」という切実な国民の願いに応えるには、消費税増税を最大の焦点とした庶民増税の路線にはっきりと終止符を打つ必要があります。

 消費税増税を許さない国民的世論と運動を急速に広げることが求められます。



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