2010年1月28日(木)「しんぶん赤旗」

小選挙区制の弊害

大統領「年内に改革」 中選挙区や比例拡大も

議論高まる韓国


 韓国で国政選挙の制度改革を目指す議論が高まっています。李明博(イ・ミョンバク)大統領は、4日の新年演説で「排他的地域主義の緩和、対決政治の克服に向け、選挙制度改革を年内に完遂すべきだ」と強調。中選挙区制の導入や比例代表の拡大も含めた制度改革に強い意志を示しました。

 韓国の国会議員選挙は、民主化を達成した1987年以降、小選挙区比例代表並立制を採用。現在は299人の国会議員のうち、245人が小選挙区、54人が比例代表で選ばれています。

 小選挙区制は、一つの選挙区で1人の議員を選ぶため、最多得票者以外への投票は結果に反映されません。そのため、比較第1党が、実際の得票率以上に議席を獲得してしまいます。2008年の総選挙では、小選挙区で43%の得票を得たハンナラ党が、53・5%の議席(131)を確保。比例代表の得票率は37・5%でありながら、国会全体の51・5%を占めました。

 また、南東部・嶺南地域(慶尚道)を基盤とするハンナラ党と、南西部・湖南地域(全羅道)を基盤とする民主党が、それぞれの地域で議席の大半を占める状態が固定化。地域の利益を代表する政党の対立が、地域間の対立をさらに激化させる「地域主義」の弊害をもたらしたと指摘されています。

 李大統領は昨年9月にも、一つの選挙区から複数の議員を選ぶ中選挙区制と小選挙区制を組み合わせた制度や、地域別比例代表の導入に言及。検討する必要があると述べていました。

 韓国メディアによると、青瓦台(大統領府)関係者は大統領の演説について、「昨年は、問題を提起する段階だったが、今年は具体的な進展につながるよう後押しするという意味だ」と説明しています。

 最大野党の民主党など野党側も、中選挙区制の導入などの改革が必要だとしています。しかし、中選挙区が導入されれば、ハンナラ党、民主党ともに基盤地域で議席を失う可能性が高いと見られており、議論が進むかどうか不透明です。(中村圭吾)


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