2010年1月28日(木)「しんぶん赤旗」

主張

官房長官の暴言

基地反対の民意否定許せない


 平野博文官房長官が、沖縄県名護市での米軍新基地建設に「ノー」の審判をくだし、基地に頼らない地域振興を求めた名護市民の民意を否定する発言を重ねています。

 平野長官は、基地問題を検討する政府の検討委員会の責任者です。その平野氏が、民意を真っ向から否定するのですから、ことは重大です。名護市民・沖縄県民をはじめ、多くの国民が怒りを爆発させているのは当然です。

地元の意思「斟酌しない」

 名護市長選で新基地反対を掲げた稲嶺進氏を市長に選んだ結果は、名護市辺野古への新基地建設を押し付けてきた日米両政府への審判を示したものです。住民の意思を尊重するなら、この結果を踏まえ、名護市への新基地建設はもちろん、普天間基地の県内「たらい回し」をやめ、無条件撤去を求めて正面からアメリカと交渉すべきです。

 にもかかわらず平野官房長官は市長選直後の25日に、市長選の結果を「斟酌(しんしゃく)する理由はない」とのべたうえ、26日には自治体との調整が難航すれば法的に決着させることも可能とまでのべ、27日もその発言を重ねています。

 当選した稲嶺氏が、「そんなことが許されるのか」と反発し、「アメリカとの合意は守るが地元との約束はいらないというのは矛盾している」と批判しているのは当たり前です。

 鳩山由紀夫首相は「ゼロベースで検討し5月末までに結論を出す」といいましたが、新基地建設を撤回するとまではいいません。北沢俊美防衛相は、辺野古も「選択肢」といっています。一連の発言は、市長選で示された明確な民意を尊重していません。これでは鳩山首相がくりかえしている、「沖縄県民の意思を尊重する」との言い分にも反します。

 なかでも、地元の同意がなくても一方的に進める可能性まで示唆した平野長官の発言は、どう喝としかいいようのない暴言です。

 平野長官は「国の安全保障の一環である基地問題」だからといいますが、これでは安保・基地問題は「国の専権事項」だといって基地の痛みを押し付けてきた自民党政権の強権的態度と同じです。国民は自民党流の「政治を変えたい」と願ったからこそ、自公政権を退陣させたのであり、その思いを力でねじふせるのは許されません。

 だいたい地方の民意を一方的に否定するのは、憲法が明記する地方自治の原則をもふみにじることになります。「地方主権」をかかげる民主党の政策とも相いれません。平野長官の発言は、取り消しと謝罪が絶対に不可欠です。

新しい流れ加速して

 政府が進めてきた普天間基地の「移設条件付き返還」路線の行き詰まりはあきらかです。名護市民が拒否するものをどこに持っていこうとしても失敗するだけです。いまこそ「米軍は抑止力」だとか「日米安保があるから」という呪縛(じゅばく)から脱却して、普天間基地の無条件返還を米政府に求めるべきです。

 名護市長選の結果は、基地に依存しない、基地のない平和で豊かな沖縄をめざす、希望ある流れが大きくなってきていることを示しています。いまこそ沖縄と本土が連帯を強めて、「基地のない沖縄・日本」をつくるために力を尽くそうではありませんか。



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