2010年1月25日(月)「しんぶん赤旗」

主張

消費税増税論議

大企業「埋蔵金」こそ還元を


 鳩山政権の主要閣僚から、「消費税増税の議論が必要だ」という声が相次いで上がっています。

 菅直人副総理・財務相は21日の衆院予算委で、「(消費税を)議論しないとは私も総理も言っていない」と答弁しました。仙谷由人行政刷新・国家戦略担当相は昨年来、「消費税の議論は避けて通れない」と繰り返しています。

 野田佳彦財務副大臣も10日のテレビ番組で、「検討や議論は当然あるべきだ」と語りました。

抱え込んだ“時限爆弾”

 鳩山政権は、2010年度予算案の編成で危険な“時限爆弾”を抱え込みました。

 予算案の財源は44兆円を超える借金と、使えばなくなる8兆円もの特別会計の「埋蔵金」に頼る、その場限りの中身となりました。「埋蔵金」には来年度に発生する見込みの外国為替資金特別会計の剰余金3500億円まで、「前倒し」で計上しています。これでは、翌年度以降の財源の見通しがまったく立ちません。

 こんな“お先真っ暗予算案”となったのは、5兆円近い軍事費を温存し、年間7兆円もの大企業・大資産家への過剰な減税を改める方向に踏み出せないからです。この二つを「聖域」にしたままでは、いずれ、庶民に重い増税を強いてきた旧政権と同じ道をたどることにならざるを得ません。

 実際に、6日の講演で仙谷大臣は、大企業減税の見直しどころか法人税率の引き下げを主張しています。その上で2011年度予算は消費税増税を含む税制改革に「踏み込まないと編成できない可能性もある」と語りました。

 閣僚らが次々と「消費税増税の議論」を唱え出したことは、鳩山政権が抱え込んだ庶民増税の時限爆弾の時計の針が、それだけ進んでいることを示しています。

 鳩山政権は「4年間は消費税を引き上げない」と公約しています。それなら少なくとも、消費税増税の法律を11年度までに成立させることを盛り込んだ、改定所得税法の付則(自公政権が昨年3月に再議決で強行)を廃止すべきです。しかし、鳩山由紀夫首相は19日の衆院本会議で、「ただちに法制面の対応を行うことは考えていない」と答弁しています。

 家計と中小企業を直撃する消費税増税が、内需主導の経済発展の路線に転換する上で大きな障害になることは間違いありません。求められているのは、大企業が大もうけしても、賃金も可処分所得も減っていくという日本経済の異常な実態の是正です。大企業減税の継続と消費税増税の路線はまったくの逆行です。

過剰な内部留保を削減

 その一方で企業の内部留保は、この10年で約200兆円から400兆円に倍増しています。

 英紙フィナンシャル・タイムズ13日付は、日本の根本的な構造問題は企業の過剰な内部留保と投資機会の減少だと指摘し、次のようにのべています。

 日本の目標は内需主導の成長でなければならず、その最大の要件は企業の過剰な内部留保の大幅削減だ―。

 「埋蔵金」というなら、ここにこそメスを入れるべきです。雇用や中小企業、地域経済への還元とともに、税や社会保障などの面で大企業に社会的な責任を果たさせることがどうしても必要です。



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