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2010年1月15日(金)「しんぶん赤旗」

事業仕分けの仙谷担当相

消費税増税へ口火


 民主党政権の重要閣僚が消費税増税を示唆する発言が相次いでいます。口火を切ったのは、「事業仕分け」の責任者である仙谷由人国家戦略・行政刷新担当相です。

 同氏は6日、東京都内の講演で「消費税を含めた税制の改革を衆院選の前に政権をかけて提起しなければ、国民に対する誠実な政治の姿ではない」と発言。日本経団連の御手洗冨士夫会長が前日に「税制改革、規制改革を断固として実行を」と発言したことに素早く反応した格好となりました。

 仙谷氏の発言はさらにエスカレート。10日には徳島市での会見で「社会保障を維持するためには消費税(の議論)は避けて通れない。(今夏の)参院選前にやる、やらないというのではなく、基礎的な部分は用意しないといけない」と述べ、参院選前から議論を開始するよう主張したのです。

 見過ごせないのは、増税論をふりまく仙谷氏が「事業仕分け」の責任者であり、この組み合わせが偶然ではないということです。昨年11月の「事業仕分け」の作業には、元政府税調会長の石弘光氏(放送大学長)、前政府税調委員の翁百合氏(日本総合研究所理事)、前政府税調専門委員の土居丈朗氏(慶応義塾大学教授)など消費税増税論者が「仕分け人」として参加しました。

 とくに、石氏は「事業仕分け」と同時期に雑誌で、「行政のムダや談合を排除することで財源が生み出されるとしてもそれは一回限りのことであろう。一時話題になった『霞が関埋蔵金』や特別会計のムダの排除だけでは膨らむ社会保障費をまかないきれるはずがない。一方の消費税であれば、すべての国民が等しく負担を公平にわかちあうことができる」(『中央公論』2009年12月号)と書きました。

 これでは“入り口は事業仕分け”“出口は消費税増税”といわざるを得ません。低所得者ほど負担が重い消費税が「公平」といえるでしょうか。

 “無駄を削ったが、これ以上削れないので消費税を増税するしかない”と、自民党がもくろんでいた「無駄撲滅プロジェクト」と同じ路線を民主党政権が歩むことは、総選挙の審判への背任です。

 そもそも民主党は、社民党、国民新党との連立政権の政策合意(昨年9月9日)で、消費税について「現行の消費税5%は据え置く」とし、「今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない」としていました。仙谷氏の発言は、連立政権の政策合意を揺るがすものです。

 政府税調会長代行を務める仙谷氏に続き、政府税調会長に就任した菅直人財務相も10日のテレビ番組で「この1年は徹底的に財政を見直す。その上で必要な議論は消費税であろうとやっていく」と表明しました。事態は重大です。(松田繁郎)



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