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2010年1月14日(木)「しんぶん赤旗」

同居親族も労働者

労災不支給取り消し命令

甲府地裁


 山梨県北杜市で同居する親族が労働基準法上の労働者にあたるかどうかをめぐり争われていた裁判で甲府地裁(太田武聖裁判長)は12日、雇用主との使用従属性の有無が重視されるべきで「原則として労働者ではない」とする国側の主張を退け、原告勝訴の判決を言い渡しました。

 判決では仕事中の転落事故で重傷を負った原告男性に労災給付を支給しなかった甲府労働基準監督署の処分取り消しを命じました。

 訴えていたのは父親の経営する左官業で働いていた左官工の中村正範さん(30)。2006年9月、作業中に転落し腰椎(ようつい)粉砕骨折で95日間入院しました。労災保険法に基づく療養補償と休業補償の給付を甲府労基署に申請しましたが、同署は父親と同居する中村さんについて「労働者にはあたらない」として不支給を決定。山梨労働者災害補償保険審査官などへの審査請求も棄却されていました。

 判決では原告が使用者(父親)の使用従属下で労務を提供する関係にあったとし、給与も労働への対価・対償であると述べ「原告は労基法上及び労災保険法上の労働者に当たると認められる」と認定しました。

 原告代理人の関本立美弁護士は「判決は同居の親族を原則として労働者として認めないという通達や国の解釈を否定し、同居の親族であっても使用従属性や報酬の労働対償性(労基法9条)が認められれば原則として労働者であるとしました。国の労働者保護に逆行する通達を実質的に否定し労基法、労災保険法の正しい解釈を示した意義ある判決です」と話しています。



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