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2009年12月28日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

障害者自立支援法 廃止すぐ

「生きる」に重い負担

応益負担撤廃へ運動さらに


 障害者・家族は障害者自立支援法で重い負担を強いられています。障害者施策を受けると、利用料を応益負担として払わなければなりません。一刻も早く自立支援法廃止をの運動が広がっています。障害者が原告になって自立支援法違憲訴訟も行われています。


作業所でも利用料が 

京都

 京都では、障害者団体や労働組合、民主団体、府民で「障害者自立支援法に異議あり、『応益負担』に反対する実行委員会」をつくり活動しています。自立支援法による応益負担を押しつけられ障害者が苦しめられている実態、自立支援法廃止を訴える街頭宣伝、集会、パレードなどが取り組まれています。

 10月5日の集会アピール「応益負担は障害者福祉になじまないの一点でまとまってきた私たちは応益負担をすぐに廃止、自立支援法廃止…」を京都選出の国会議員へ届けて要請もしました。

 自立支援法は憲法に違反しているとの訴訟も進められています。9人の障害者が原告になっています(福知山市1人、亀岡市6人、京都市2人)。弁護士が16人、賛同人と呼ばれる「障害者自立支援訴訟の勝利をめざす京都の会」(4月1日結成)の会員は1300人を超えています。きょうされんなどの障害者団体、民医連や歯科保険医協会などの医療団体が役員会に諮るなどして賛同人を集めてくれました。

 法廷で障害者の父親は、子の社会生活の場である作業所の維持、発展のために必要なお金を必死につくってきた歩みを述べ、「(子が)そこに通うのに利用料をとる血も涙もない仕打ちは許せない」と話しました(6月1日)。障害者の女性は「作業所に通い、念願のケアホームに入って生きる喜びを得てきた。障害がどんどん進行して、自分も母もますます生活しにくくなってきている。生きることへの利用料応益負担あまりにもひどい」と訴えました。(8月24日)

 街頭宣伝、講演などを行い世論と運動を広げ、政府との話し合いを注目しながら2月15日の口頭弁論を成功させようと考えています。(障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす京都の会事務局長 池添素)


働いて給料もらいたい

埼玉

 今月3日に「つくろう 安心して暮らせる埼玉を! さよなら! 障害者自立支援法」のスローガンを掲げた第4回・埼玉県民フォーラムが開かれ、950人が参加しました。本県民集会は自立支援法を見直す運動の一環として2007年1月に第1回が開かれ、その後、毎年12月に開かれてきたものです。

 今回は、障害者自立支援法の違憲訴訟を起こしている障害者の原告が訴えました。村田勇さんは「(裁判では)自分の将来の大切なことと考えて発言をしました。一日も早く裁判に勝利をと思っています。そして、早く就職をしたい」と、県民会館大ホールのステージから堂々と思いを発表しました。

 県民集会前日(2日)、さいたま地裁第5回口頭弁論で、村田さんは「さいばんかんのみなさん、ぜひかわせみに来てください。そして、ぼくらのはたらいているすがたを見てください」と手書きの原稿を読み、「検証」を申し出ました。

 県内で原告は12人います。

 村田さんは9月の口頭弁論で、養護学校卒業後から11年間ハローワークに通い続けても就職がかなわないこと、面談では「障害者は雇わない」と言われたことが何度もあったと、その悔しさを意見陳述しました。村田さんは、日高市内の就労移行支援事業所「かわせみ」に通っていますが、自立支援法が定める2年という利用期限が来春(10年)3月に迫っているため不安な日々を過ごしています。

 「かわせみ」の工賃は月額1万円。一方、自立支援法によって毎月、「かわせみ」利用料1500円と給食費7480円がかかります。意見陳述で村田さんは「就職して給料をもらい、ATMでお金をおろして好きなものを買いたい」と裁判官に訴えています。

 1月27日は第6回口頭弁論です。裁判官は被告の国側に対しその1週間前までに「検証」に対する意見提出を求めています。(障害者自立支援法の勝利をめざす埼玉の会事務局長 菅井真)


障害者総合福祉法を

共産党が提案

 鳩山政権は障害者自立支援法の廃止方針を決め、障害当事者が半数を占める「障がい者制度改革推進会議」を設置しました。年明けから新法づくりへ議論が始まる予定です。

 障害者が生きるために必要な支援を「益」として重い負担を課す障害者自立支援法を、ここまで追い込んだのは障害者・家族の大きな運動です。各地で広がる違憲訴訟も大きな力になっています。

 しかし、応益負担の撤廃、自立支援法の一刻も早い廃止を実現するには、引き続き大きな運動が必要です。

 政府は来年度予算案に、障害福祉サービス・補装具の負担軽減策として107億円を盛り込み、住民税非課税世帯は無料としました。自立支援医療は対象外とされ、当初の想定必要経費300億円の3分の1程度にとどまっています。応益負担の仕組みは残されたままです。

 日本共産党国会議員団の「障害者の全面参加と平等推進委員会」(責任者・小池晃参院議員)は、障害者自立支援法の一刻も早い廃止と、来年4月から応益負担撤廃をはじめ緊急施策の実施を政府に申し入れていました。障害者の福祉・医療は無料であるべきですが、当面、応益負担は即刻撤廃し、応能負担に戻して住民税非課税世帯は無料にすることを強く要求しています。

 申し入れでは、自立支援法廃止後の新法として、憲法と障害者権利条約の趣旨にそった、「障害者総合福祉法」(仮称)を提案。障害者の声を十分に反映して策定するよう求めています。

 自立支援法の廃止、障害者施策拡充の財源は、軍事費や大企業優遇税制にメスを入れれば十分に確保できます。政党助成金(320億円)を廃止すれば応益負担は即刻撤廃できます。

 来年度予算編成をめぐっても、日本共産党の政策方向でこそ障害者福祉の展望が開けることが浮き彫りになっています。(日本共産党国民運動委員会 橋本輝夫)



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