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2009年12月28日(月)「しんぶん赤旗」

中国経済世界2位へ

省エネ・CO2減も発展の一環

金融危機の影響から回復


 【北京=山田俊英】2009年は中国経済にとって波乱の年でした。米国発の金融危機の影響で、年初に国内総生産(GDP)の成長率が落ち込みながら、政府の強力なてこ入れで回復。GDP総額は日本を抜いて世界2位になる可能性が強まっています。中国政府は来年も景気刺激策を続ける一方、輸出依存の改善や省エネ・排出削減など「持続可能な成長」への転換をめざしています。


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(写真)新疆ウイグル自治区ウルムチ市郊外の風力発電所=5月19日(山田俊英撮影)

 年初、輸出拠点の広東省を取材したときは工場閉鎖が相次ぎ、農民工(出稼ぎ農民)の失業が社会問題になっていました。失業した農民工は全国で約2000万人。しかし6月、多くの農民が広東省に出稼ぎに行く広西チワン族自治区を取材したときは、生産の回復で求人が増え、いったん帰郷した農民が既に都市の工場へ戻っていました。

 四半期成長率は17年ぶりの低率だった1〜3月期(6・1%)を底に上昇し、通年8%の目標達成が確実です。中国社会科学院が12月に刊行した「2010年経済青書」は四つの要因を挙げました。

 (1)世界経済に「二番底」が現れなかった(2)4兆元(約52兆円)の財政出動や消費刺激策など政府が的確な政策を実施した(3)上海万博の準備や建国60年など大きなイベントが投資と消費を引き上げた(4)地方政府の投資意欲や個人消費など内在的動力が強かった―。

 ただ、専門家は来年も依然として外需悪化、内需不足の二大問題に直面すると予想しています。国家統計局によると、今年1〜9月期、中国経済は7・7%増の成長を維持しましたが、内訳は投資が7・3ポイント増、消費が4ポイント増、輸出がマイナス3・6ポイントでした。

 来年の経済政策の方向を定める中央経済工作会議は、消費主導型成長への転換を掲げ、農民への援助や社会保障の完備を来年の重点課題に挙げました。

 二酸化炭素(CO2)排出量を20年までにGDP単位あたりで05年比40〜45%削減する目標を決めたことも持続可能な発展をめざす一環です。

 気候変動問題の専門家、鄒驥(すうき)世界資源研究所中国区首席代表は人民日報紙で「中国の削減目標は外からの圧力によるものではなく、持続的発展のためだ。技術の低い、高汚染、高消費の産業活動を改善し、生産、生活、消費を低炭素型に変える革命が根本目的だ」と語っています。


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