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2009年12月25日(金)「しんぶん赤旗」

科学・文化予算拡充を

党国会議員団 首相あてに申し入れ


 日本共産党国会議員団は24日、鳩山由紀夫首相(行政刷新会議議長)、川端達夫文部科学相あてに「科学技術・高等教育予算の削減中止と十分な確保を要求する申し入れ」「文化予算の抜本的拡充を求める申し入れ」を行いました。

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(写真)科学技術・高等教育予算について後藤政務官(左)に申し入れる(右へ)宮本衆院議員、井上参院議員=24日、文部科学省

 申し入れは、政府の行政刷新会議の「事業仕分け」が、科学・技術や高等教育、文化に関する事業の多くを見直しや予算縮減と決定したことを受けたもの。宮本岳志衆院議員、井上哲士参院議員、日本共産党学術文化委員会の改正充事務局次長が出席し、文科省の後藤斎大臣政務官が応対しました。

 宮本氏は、22日の党議員団と大学、研究機関、学会関係者らとの懇談でだされた意見を紹介しながら、「予算の縮減は研究に深刻な影響を与えるとともに、『事業仕分け』の手法が研究者や文化団体関係者の心を傷つけている」と強調。自公政権時代にとられてきた大学、研究機関予算の連続削減を中止し、充実することなどを求めました。

 後藤氏は、「従来の大学予算削減はストップしたい。税収も減って大変だが、なんとかよくやったと言っていただけるように努力したい」と語りました。

 「事業仕分け」について後藤氏は、「荒っぽいところもあった」と認める一方、文科省に対し14万件もメールが寄せられるなど政治と国民が双方向になったなどと評価。井上氏は、「関係者は双方向ではなく一方通行だと見ている。だからこそ14万件のメールになっている」と述べ、まず関係者の意見を聞くべきだと求めました。

 後藤氏は、「意見交換の機会はつくっていかなければいけない」と述べました。


「科学技術・高等教育予算の削減中止と 十分な確保を要求する」申し入れ (要旨)

日本共産党国会議員団

 日本共産党国会議員団が24日、鳩山由紀夫首相(行政刷新会議議長)と川端達夫文部科学相に申し入れた「科学技術・高等教育予算の削減中止と十分な確保を要求する」の要旨は、次の通りです。

 1 大学、研究機関の基盤的経費の連続削減を中止し、充実をはかること。学費負担を軽減し、奨学金の充実をはかること

 (1)国立大学の運営費交付金は、法人化後毎年1%削減され、5年間に720億円が削減された。これ以上の削減は教育・研究の質の低下と衰退をまねくことが明らかであり、ただちに中止し、充実をはかること。政府は、各大学の教員数などに応じて配分する運営費交付金を、「各大学の努力に応じて」配分する性格に改変しようとしているが、大学間格差をいっそう拡大し、教員養成系や地方の大学などを存亡の危機に追い込むものであり、行うべきではない。運営費交付金は、各大学の基盤的経費として十分な予算額を確保すること。

 (2)私立大学の国庫補助が連続削減され、経常費に対する補助割合は11%に低下した。学生の学費負担の増大、教育・研究条件の劣悪化、中小私大や短大での深刻な経営危機をもたらしている。国庫助成、とくに一般助成の削減を中止するとともに、国会決議である「経常費二分の一補助」を実現するために、年次計画を策定して大幅な増額をはかること。定員割れした大学への補助金の削減・不交付というペナルティを直ちにやめること。

 (3)経済危機のもとで学業をあきらめる若者や、奨学金返済が困難な人々が増えている。国際人権規約(A規約)の漸進的に無償化する条項(第13条2項b、c)の留保を撤回し、国公私立大の学費を引き下げる施策を実施すること。授業料減免や無利子奨学金の大幅拡充、所得に応じた返済猶予や給付制奨学金の創設を実現すること。

 2 先端的研究資金や競争的資金の削減を行わず、基礎研究支援の拡充と制度の改革をはかること

 (1)スーパーコンピューターや大型放射光施設、深海地球ドリリング計画などの先端的研究や「グローバルCOE」など競争的資金による研究は、内外の多くの研究者が利用し、豊富な成果が期待されている研究を支援するものである。予算を削減すれば、基礎研究の発展を阻害し、研究費で雇用されている任期付の研究者が数千人規模で失職する恐れもあり、予算の削減は行わないこと。

 先端的研究資金や大型の競争的資金は、科学、技術の新しい段階を切り拓くけん引役をはたすとともに巨額の研究費を投入するだけに、その支援策は、日本学術会議をはじめとする専門家による慎重で公正な評価にもとづいて策定されるべきであり、そのための体制を確立すること。

 大学、研究機関が研究費で雇用する任期付きの研究者や職員が失職することがないよう、任期終了後の再就職先を保障するシステムを確立すること。

 (2)研究者の自由な発想による多様な研究を支援する科学研究費補助金は、基礎研究の発展にとって基盤的経費とともに車の両輪として重要な役割をはたす資金であり、削減を行わず、採択率を大幅に引き上げるなどの拡充をはかること。

 科研費を含む各種の競争的資金の配分が特定分野や旧帝大系大学に集中する現状を見直し、幅広く大学・研究機関の研究者に配分するようにすること。

 3 若手研究者・女性研究者への支援策の削減を行わず、抜本的に拡充すること

 (1)若手研究者に定職への道をひらくテニュアトラック支援事業、若手を対象にした科学研究費補助金、博士課程院生とポスドクを対象に研究を奨励する特別研究員事業は、若手研究者が優れた研究成果をあげて定職につくうえで大きな役割をはたしている。これらの事業の削減は、来年度に内定している院生、ポスドクに内定取り消しへの不安が広がり、若手研究者に研究者としての志の放棄を迫る深刻な事態をひきおこしている。

 若手研究者の多くが安定した研究職につくことができず、「高学歴難民」「高学歴ワーキング・プア」となっているなかで、支援策の削減を行わず、いっそうの拡充をはかるとともに、研究職ポストの拡大をはじめ若手研究者が夢を抱ける抜本的な施策を策定すること。

 (2)研究者の女性比率は13・0%、大学教員で18・9%と世界的にみても低く、他方で大学の専業非常勤講師のような不安定雇用では5割以上をしめるなど、女性研究者の地位向上、男女共同参画のいっそうの推進が期待されている。現行の女性研究者支援策を削減するのでなく、理系以外にも対象を広げるなど制度の充実をはかるとともに、女性研究者が能力を十分に発揮できる抜本的な環境整備をはかること。

 4 大学予算の欧米並みへの増額をはかり、科学界、大学界の意見を尊重して科学技術振興策を確立すること

 わが国の大学がかかえる問題の根底には、GDP(国内総生産)比で欧米諸国の半分にすぎない貧困な大学予算のもとで、劣悪な教育研究条件と世界一高い学費を強いられていることがある。科学・技術と高等教育の発展をはかるために、大学予算を欧米並みに引き上げること、「大学の構造改革」から脱却し、科学界、大学界の意見を尊重した科学技術政策、大学政策を策定することが必要である。その実現にむけてとりくむことを強く求める。



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