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2009年12月20日(日)「しんぶん赤旗」

温暖化防止COP15

全会一致はならず 課題の困難さ示す


 国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が「留意」した「コペンハーゲン合意」は、「若干の重要な積極的要素」(欧州連合議長国スウェーデンのラインフェルト首相)もあるものの、法的拘束力をもった新たな法的文書の採択に関連する規定を欠いたものとなりました。COPの通常の採択方式であるコンセンサス採択もできず、賛成する国も「不十分だ」と公然と表明しています。

 「合意」の積極面としては、▽温暖化の悪影響を最小限にとどめるための気温上昇目標を産業革命前比で「2度以下」とする▽途上国支援の資金援助を定める▽これまでなかった米国や途上国の削減約束が初めて行われた―などが指摘されています。

 しかし採択された「合意」では、「法的拘束力」に関連する規定はありません。

 この点に関してオバマ米大統領は18日深夜の記者会見で、▽先進国側と途上国側が「根本的な行き詰まり状態」にあり「双方に正当な言い分がある」▽このもとで、「法的拘束力ある条約を待っているだけでは前進できない」―と指摘。「依然として拘束力のある合意を求めるが、現在、拘束力をもった京都議定書が存在している」と述べ、次善の策として今回は拘束力のない合意もやむをえないとの見方を示しました。

 本来COP15で合意すべき新協定の第一の要素として求められていた、先進国の野心的な義務的削減目標も、「合意」には含まれませんでした。

 これに対し一部の途上国からは、「合意」が一部の国によって決定され「押し付け」られたことへの厳しい批判が出ました。

 もう一つの論点となったのが、途上国の削減努力に関する規定です。米国が「透明性」の確保という表現で、途上国の取り組みを何らかの形で国際的にコミットさせることを強く求めてきたのに対し、中国を含む途上国側は、これに同意してきませんでした。

 結局「合意」では、これまでも枠組み条約のもとで実施されてきた、各国の削減取り組みの条約事務局への報告制度を強化し、「各国の主権を尊重するガイドライン」に基づいて、国際的な協議・分析を可能とするなどの規定が入りました。

 2020年までに先進国の温室ガス排出量を1990年比で25〜40%削減する、途上国も経済成長を確保しつつ一刻も早い削減に向かうという課題は、今日の世界経済の構造の大きな変革を迫るものです。COP15は、この課題の達成が容易でないことを改めて示しました。(コペンハーゲン=坂口明)



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