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2009年12月17日(木)「しんぶん赤旗」

核廃絶への道筋なし

日豪委報告 反核団体など批判


 日豪両政府が主導して発足した「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND、共同議長=川口順子元外相、エバンズ元豪外相)」が15日に発表した最終報告書は、期限を切った核兵器廃絶を提示していないことなどから、秋葉忠利・広島市長や日豪両国の反核団体から、「緊急かつ達成可能な目標として、廃絶へ至る道筋を描けていない」との厳しい批判があがっています。

 報告書は両共同議長が15日、鳩山由紀夫首相、訪日中のラッド豪首相に提出しました。2012年までの目標として、米ロの戦略兵器削減交渉の早期妥結、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効、25年までに、核兵器先制不使用の宣言、核兵器禁止条約にむけた行動などをあげています。25年以降は、「核兵器を抑止力として役にたたなくさせる状況をつくり出す」と述べるにとどまり、核兵器全廃にむけた期限などの記述はありません。

 秋葉市長、田上富久長崎市長、日本や豪州はじめ世界の反核・平和組織の代表は15日、同報告に関する、「市民社会の共同声明」を発表しました。

 声明は、(1)核兵器ゼロにむけた過程・時間枠が示されていない(2)世界市長会議が20年までの廃絶を提唱しているなかで示された行動計画は緊急性の意識と危機感が欠けている(3)核兵器禁止条約の起草作業を遠い未来におしやっている―として、「世界的な核廃絶の機運を後押しするより、ブレーキをかける危険性をはらんでいる」と強調しています。

 ICNND日本NGO連絡会の活動にかかわってきた日本原水協の土田弥生事務局次長は、「核兵器の脅威をなくし、核を廃絶するには、禁止する以外に道がないことはICNND委員でも分かっているはず。日本は被爆国であり、日豪両国は米国の同盟国です。だからこそ踏み込んだ提言にしてもらいたかった」と話しています。



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