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2009年12月13日(日)「しんぶん赤旗」

“二階氏は特別” 西松元幹部が証言

「関空工事影響を期待」
「支店にパーティー券」


 準大手ゼネコン西松建設の違法献金事件で9日、自民党の二階俊博前経済産業相の政策秘書が略式起訴されました。しかし、この程度ですまされる問題ではありません。複数の元同社幹部は、同社の事業にとって二階氏は特別に重要な存在だったと証言しています。(矢野昌弘)


 二階氏と同社をめぐっては、今回略式起訴を受けた事務所家賃の補てんや年間300万円の資金提供のほかにも、同社ダミー団体がパーティー券購入など1618万円の資金提供が行われていました。

 こうした両者の不透明な関係の背景には、大型公共事業受注への期待があったとみられます。両者の関係が始まったのは約30年前から。複数の関係者によると、同社が和歌山県内で建設中だった椿山ダム工事で、後に同社会長となった当時のダム事務所長が、当時県議だった二階氏と知り合って以来の関係です。

 二階氏は、元同社相談役で「関西談合のドン」と呼ばれた故平島栄氏とも親交を結びました。

 同社元中枢幹部は「平島さんと二階さんは大阪で知り合いになった。国会議員になった二階さんから『力のある人だから』と紹介されたのが小沢(一郎民主党幹事長)さんだった」と振り返ります。

 同社からの違法献金事件で18日に公設秘書が初公判を迎える小沢氏より、古い関係だったと同社関係者は口をそろえます。

 旧運輸大臣や自民党交通部会長など、「運輸族」議員として力をつけていった二階氏。一方で同社は、和歌山県内で相次いで公共工事を受注しました。

 工事経歴書によると、2002年から07年にかけて同社が同県内で受注した公共工事は11件。大半が二階氏の選挙区、和歌山3区内の工事でした。

 とくに1990年度から始まった南紀白浜空港建設工事(総事業費300億円超)では、同社がJV(共同企業体)などで総額約176億円分を受注しました。98年の空港本体工事では、同社JVが随意契約で約12億円の工事を受注しています。

 さらに、同社と二階氏は、関係を強めました。近畿地方では1990年〜2000年代にかけて、関西国際空港や神戸空港などの大型工事が目白押し。

 ある同社元中枢幹部は「二階さんは元運輸大臣だったし、空港・港湾関係に強い。二階さんに期待したのは、関空工事での影響力。そのために支援した」といいます。

 同社関西支店の元幹部は「二階さんのパーティーは大事にした。二階さんのパーティーがあると、支店内で券が配られ、何度か参加した。そんなことを支店内でするのは二階さんの時だけ。ほかの議員の時にはそうならない」と証言。地元政界関係者は「二階氏はゼネコンの中でも特に西松とのつながりが深く、選挙では社員が動員されている」といいます。

 証言で浮かび上がる二階氏と西松の特別な関係。多額の資金提供の裏に何があったのか、今回の略式起訴で幕引きとせず、徹底した解明が求められます。



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