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2009年12月12日(土)「しんぶん赤旗」

COP15 コペンハーゲン

京都議定書 扱い議論に

削減義務に法的拘束力

日米の放棄案に途上国反発


 【コペンハーゲン=坂口明】コペンハーゲンで開催中の国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)では、現行の京都議定書の扱いが議論になっています。デブア枠組み条約事務局長は10日の記者会見で、同議定書は「唯一の法的拘束力を持った協定」であり、新しい協定ができるまでに空白をつくらないためにも「京都議定書は生き残らなければならない」と語りました。

 日本では「ポスト京都」といった表現が盛んに使われ、京都議定書が2012年で終了することが決まっているかのような印象が振りまかれています。ところが12年に終わるのは、同議定書のもとでの「第1約束期間」にすぎず、13年以降の「第2約束期間」がありうることが最初から想定されています。

 京都議定書の核心的内容は、地球温暖化に歴史的責任を負う先進国に温室効果ガスの削減数値目標を義務付け、それを実現できない場合は次期約束期間に反映させるなど、法的拘束力を持たせた点にあります。

 ところがCOP15に向けた交渉で米国や日本などは、先進国が削減義務を負うという京都議定書の原則を放棄する新たな枠組みを提示し、途上国側が強く反発しています。

 途上国により構成されるG77+中国のスーダン代表は10日の記者会見で、「歴史的に世界最大の排出国で、1人あたりでも世界最大の排出国」の米国に、京都議定書に参加するよう求めました。1990年比で4%削減にしかならない米国の中期目標を批判。また国防予算に何千億ドルも使っているのだから、2000億ドルを途上国の温暖化対策に回して世界を救えないわけがないと述べました。

 欧州連合(EU)代表は直後の記者会見で、これまでの経過に照らしても、米国の京都議定書復帰は起こらないだろうとの見解を示しました。

 これに先立ち、温暖化の影響を最も強く受ける島しょ国のツバルが新たな「コペンハーゲン議定書」の採択を求め、中国、インド、南アフリカなどの諸国が「京都議定書で十分だ」と反対しましたが、10日の京都議定書改定をめぐる議論では双方の接近が進みました。

 現在、新議定書採択に関する提案は、オーストラリアやコスタリカなどからもなされています。



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