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2009年11月25日(水)「しんぶん赤旗」

普天間「移設」問題

政権の混迷続く

「日米同盟に手つけられない」


 「(普天間「移設」問題で)官邸周辺からは『早めに結論を出す』という声も聞こえてくる。名護で民主党県連が推薦する基地反対派の候補が勝つと、政権の意向と矛盾する可能性もあるからだ」

「年内決着」発言

 来年1月の沖縄・名護市長選挙で「新基地建設反対」の統一候補に稲嶺進氏が決まるなかで、民主党内からはこんな声が漏れてきます。

 17日には米軍普天間基地「移設」に関する日米閣僚級作業部会が始まり、日米双方が「迅速に結論を目指す」ことで一致。岡田克也外相は、県外・国外移転に消極姿勢を示し、「来年度予算編成を考えると12月いっぱいに決着させた方がいい」と発言しました(21日)。

 鳩山由紀夫首相は、「最終的にこれは私が判断するタイミングが来る」(20日)とし、「年内決着」も否定していますが、政権の混迷は深まっています。

 政権の混迷が続くのはなぜか。

 同党沖縄県連関係者が、「国際情勢の変化が目に入らず、日米同盟には手をつけられないという観念論がまだ支配している」と指摘します。

 最近「訪米してきた」という若手議員はいいます。

 「アメリカ側の説明は、米軍再編は世界規模の計画で、日本でつまずけば全体が壊れる、というものだ。当初アメリカはインド洋での給油の行方を気にしていたが、普天間は深刻に認識していない様子だった。ここまでこじれて、今は混乱している。こうした『現実』を知れば、日米合意で進めざるを得ない」

 「米軍の論理」という「現実」に屈服する議論です。

駐留見直し論も

 一方で、日本総合研究所会長で、鳩山首相の「ブレーン」といわれる寺島実郎氏は「週刊朝日」27日号で、「敗戦後の一時期に外国軍隊が駐留するのは珍しくないけれど、独立後も外国の軍隊が駐留し続けることは不自然」と強調。また、元外務省国際情報局長の孫崎享氏は17日のNHKラジオ番組で、「米側の圧力は生やさしいものではない」が、「思いやり予算」など日本の“対米貢献”は比類がないとし、「普天間の問題が(合意通り進まず)おかしくなっても、(米側にとっても)だから日米関係を壊していいとはならない」とのべました。

 「日米同盟」維持派「論客」も、米国の圧力に折れるなと主張しているのです。

 前述の沖縄県連関係者は、「嘉手納統合とか、硫黄島とか、『普天間基地をどこに移すか』という発想をぬけだし、そもそも海兵隊の基地が日本に必要かという、論点のレベルアップが必要だ」とのべます。(中祖寅一)



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