2009年11月22日(日)「しんぶん赤旗」
ホンジュラス 大統領選まで1週間
セラヤ氏を復帰させず
正当性に疑問の声
中米ホンジュラスの大統領選挙(29日)が1週間後に迫りました。今回の選挙は、クーデターで国外追放されたセラヤ大統領が復帰しないまま行われます。同大統領の支持者や国際社会からは同氏不在のまま行われる選挙の正当性を疑問視する声が出ています。
ミチェレッティ暫定政権は、同選挙の実施をもって6月末のクーデター以降続く不正常な事態が「解決した」と見なす考えです。
しかし、クーデターで起きた不正常な事態を解決するために、米国や米州機構(OAS)が提起し、セラヤ正統政権側、暫定政権側双方が受け入れたテグシガルパ・サンホセ合意は、クーデター以前の政権に戻すことを主目的としていました。
合意はその上で、▽セラヤ氏の大統領復帰を国会が審議・決定する▽国民和解政府を発足させる▽選挙を予定通り実施する―などを含んでいます。
国会招集せず
セラヤ氏側は、同氏の大統領復帰が合意遂行の要だとして、早期の国会招集を要求してきました。しかしクーデター支持派の影響下にある国会議長らは国会を招集もせず、5日には暫定政権が一方的に「国民統一和解政府」を発足させました。
セラヤ正統政権は、暫定政権が国会招集を先延ばしし、一方的に「政府」を発足させたのは合意の棚上げだと批判。6日にはセラヤ大統領が「合意は死文化した」と宣言しました。
米政権に批判
セラヤ氏復帰を求める「クーデター反対抵抗戦線」は、同氏を復帰させないままでの選挙実施は「合法性がない」と主張し、投票のボイコットを呼びかけています。セラヤ氏は19日、このままでは国際社会からも「信頼性を得られない」として、選挙の延期を暫定政権に求めました。
ブラジルをはじめ中南米諸国は、セラヤ氏の復帰が合意の中心点であり、選挙が行われたとしても承認しない立場です。国連も同様の立場を表明、OASも選挙監視団派遣を撤回するなど、国際社会は軒並み選挙不承認の立場です。
こうしたなかで、オバマ米政権が選挙を承認する立場へ態度を変えたことに批判が出ています。
米国は当初、クーデターを認めず、セラヤ氏の復帰を求める立場でした。しかし合意成立後は、同氏復帰の要求を取り下げ、選挙を積極的に承認する立場に転換しました。
米国の態度については、欧州のメディアも「暫定政権への降伏」と指摘。中南米諸国も米国の姿勢を厳しく追及しています。 (島田峰隆)

