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2009年11月22日(日)「しんぶん赤旗」

主張

子どもの権利条約20年

政治が推進の立場に立つとき


 子どもの権利条約が国連で採択され、今年で20年を迎えました。

 条約は、子どもの生存の保障、人間的発達のための教育や休息・遊び・文化などの保障、子どもの意見が聞き取られ相談にのる大人や友達がいることなど、豊かな子ども期をおくるための権利を包括的に定めたものです。

 日本を含め、条約を締結した各国政府は、これらの権利を保障する義務を負っています。

「子ども期の崩壊」状況

 日本の子どもの権利はどうなっているでしょうか。

 何より、子どもの成長の土台である家庭が小泉「構造改革」路線によって崩壊のふちに立たされています。非正規雇用が急増し、不安定な労働のなか、親たちは精神的にも経済的にも余裕を失いました。「子どもの貧困」は増大し、とくに単親家庭の状況は深刻です。

 「構造改革」による保育園の規制緩和は、子どもをすし詰めにし、保育士の非正規化などを加速しました。認可園での子どもの死亡事故も急増しています。しかも保育所不足で待機児はふえ続けています。家庭的環境を保障する児童福祉施設の整備も遅れています。

 子どもの人格の土台を形成する大切な諸施設がこんなに粗末に扱われている国はありません。

 教育の場では、「世界一高い学費」が子どもの夢を奪っています。また国連・子どもの権利委員会から「子どもの発達障害をもたらしている」と指摘された「極度に競争的な学校制度」は是正されるどころか、いっせい学力テストなどで拍車がかけられてきました。

 こうしたなか、日本では「子ども期の崩壊」と言うべき状況がうまれています。その集中的なあらわれの一つに子どもの孤独があります。日本の子どもは他国と比べ、「自分は孤独だ」と感じる割合が突出しています(ユニセフ調査)。“空気を読む”など友達への過度のプレッシャーは、子どもたちの孤独の裏返しといえます。

 人間らしさを排除する効率優先の社会は、安心できる人間関係を奪ってきました。それが、孤独や自己肯定感情を持てない子どもをふやした根底にあります。

 国連・子どもの権利委員会は、乳幼児期の子どもも意見表明権を持っていることを強調しています。子どもは乳児の時から、自らの要求が聞き取られ、あたたかく応答される人間関係のなかでこそ成長することができます。

 日本の子どもの権利を危機にさらした最大の責任は、子どもの権利条約や同委員会の勧告を無視し続けた自民党政治にあります。それだけに国民の選択で誕生した新しい政府が、子どもの権利条約を位置づける政治をすすめるかどうかが問われています。

条約の全条項実現めざし

 課題は多岐にわたりますが、(1)人間らしい労働のルールの確立(2)「子どもの貧困」の解消(3)民主党政権が進める保育園の「最低基準緩和」の中止と量質ともに豊かな保育園の整備(4)教育費の無償化および「競争と管理」の教育の是正―などは急務です。

 各地で子どもの権利条約の精神を実現するとりくみが進められてきました。

 これをさらに広げ、条約を日本社会に定着させましょう。日本共産党は、子どもの権利条約の全条項の実現に向け、全力をあげます。



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