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2009年11月22日(日)「しんぶん赤旗」

伊勢エビ漁 ピンチ

フェリー座礁 操業中断

党議員調査に苦境の声 三重


 東京発那覇行きのフェリー「ありあけ」(7910トン)が熊野灘で横転し、三重県御浜町の海岸に座礁した事故から1週間あまり。船体からは今もじわじわと油が漏れており、周辺の漁業などに深刻な影響が出ています。20日には、日本共産党の真弓俊郎三重県議や周辺市町議が現地で被害状況を調査しました。(三重県・白瀬総彦)


写真

(写真)座礁したフェリー「ありあけ」を視察する真弓俊郎三重県議=20日、三重・御浜町

 フェリーの座礁場所は、約20キロにわたって玉砂利の美しい海岸が続く「七里御浜(しちりみはま)」の中ほど。横倒しで赤い船底をあらわにした巨船が異様な景観をつくり出しています。

 現場の海岸沿いは、隠れ磯が続く伊勢エビの一大漁場。漁は10月に解禁され、これからが最盛期ですが、事故以降、操業は中止されたままです。

 伊勢エビ漁だけでなく定置網などすべての操業を中止している紀南漁協(同県紀宝町)では、佐田美知夫組合長が「いつになったら漁を再開できるのか。途方に暮れている」と頭を抱え、「波高になれば、さらに油が漏れる。とにかく一刻も早く撤去してほしい」と訴えます。

 フェリーには燃料用重油だけでも約500キロリットル積まれています。燃油の抜き取り作業は18日から始まりましたが、完了までには日にちがかかり、フェリーの完全撤去はめども立っていません。

 また、積み荷の全容は明らかにされていませんが、プラスチック原料の樹脂粒「レジンペレット」の流出が確認され、漁船などが冷却装置に吸い込んでエンジントラブルを起こす被害が起きており、生態系への影響も懸念されています。

 党議員団に対して佐田組合長らからは、当面のつなぎ融資など漁業者の暮らしを守る施策とともに、風評被害を防ぐために漁再開に当たって公的機関が安全宣言を出すことなどに、力添えが求められました。

 また、被害額も分からないなかで船主保険のサーベイヤー(検査員)が補償額を減らそうと動いていることに強い不満が示され、「こっちが被害者なのに、保険会社に圧力をかけられるのはおかしい」などの声が上がっていました。



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