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2009年11月20日(金)「しんぶん赤旗」

主張

失業者支援

寒空のもと、路頭に迷わすな


 厚生労働省の調査で、解雇や雇い止めで仕事を失った人のうち、年末までに雇用保険の失業給付が切れるのは約39万人、そのうち約6割は再就職できず収入が途絶える見込みで、年末年始に約23万人への支援が必要なことが明らかになりました。直近の9月の「完全失業者」は363万人、失業給付を受け取っているのは失業者の4人に1人で、もともと失業給付が受給できない人もたくさんいます。失業者が寒空のもと路頭に迷うことが絶対にないよう、支援を強めることが急務です。

失業しても仕事がない

 雇用保険の失業給付は最長330日ですが、派遣労働者や契約社員など「非正規」の労働者の場合は、90〜180日が大半です。昨年末から今年にかけ無法な「派遣切り」などで「非正規」の労働者が仕事を失う事態が相次いだため、失業給付が切れる人は7月以降毎月6万人前後に上るというのが厚労省の推計です。この水準は、たとえば6月に失業給付を打ち切られた人の、2倍以上です。

 「非正規」「正規」を問わず雇用を削減する動きは、一部の大企業の生産が拡大に入った現在も変わっておらず、「完全失業者」は昨年秋から1年近くにわたって増え続けています。求人の動きも鈍く、求職者に対する求人の割合を示す有効求人倍率は、史上最悪の水準を続けています。

 このため失業しても仕事を見つけることができず、長期にわたって失業状態を続けなければならない人の問題が深刻化しており、そうした人の失業給付が打ち切られれば、ただちに生活に窮することになります。厚労省が失業給付を打ち切られ、支援が必要になる人の推計を発表したのは初めてで、それほど事態が深刻なことを浮き彫りにするものです。

 昨年の年末には、急激な雇用の削減の中で、仕事とともにそれまで暮らしていた派遣会社の寮などの住まいも奪われた人が路頭にあふれ、東京・日比谷公園での「年越し派遣村」など、緊急の炊き出しや生活支援に頼る事態が出現しました。ことしもこうした事態を繰り返さないためには、失業給付の延長や失業者への衣食住の支援など、緊急の支援を強めることが待ったなしです。

 支援が必要なのは、失業給付が打ち切られる失業者だけではありません。全国労働組合総連合(全労連)が全国のハローワークで行った失業者へのアンケートでは、失業期間が3カ月以上という人が62・9%を占めました。約半数はすでに給付を打ち切られた人やもともと受給資格がないなどの理由で失業給付を受けていない人です。失業給付を改善するとともに、生活や就労への支援を拡大することが不可欠です。

心のこもった緊急対策を

 鳩山由紀夫内閣も「緊急雇用対策」に取り組んでいます。しかし、日本共産党の小池晃参院議員が指摘したように、失業給付の期間を延長する「全国延長給付」の実施には否定的で、失業者が1カ所だけで仕事と生活、住宅などの相談ができる「ワンストップ・サービス」も一部地域だけで実施する計画です。

 重要なのはことばだけでなく、心のこもった対策です。一人の失業者も路頭に迷わせないため、必要な対策を必要な規模で、急いで行うことが求められます。



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