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2009年11月15日(日)「しんぶん赤旗」

破たんの玄海原発プルサーマル

説明ぬき“見切り発車”

佐賀 町民ら中止求める


 佐賀県玄海町にある九州電力の玄海原発で原子力発電が始まって34年。九電はこのほど「国策」の名で日本初の「プルサーマル」を玄海原発3号機で始動させました。安全性や必要性についての説明責任を果たさない、いわば、見切り発車です。玄海町民の不安と怒りがいっそう高まっています。(佐賀県・平川明宏)


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(写真)MOX燃料の搬入強行に抗議する市民・運動団体の集会参加者ら=5月、佐賀県玄海町

 人口6000人の玄海町は、九電とその関連企業で働く人は町民の3人に1人といわれる「原発の町」です。「町の人は誰も言葉にしないが、本音はイヤです。おそろしい」というのは、町に住んで久しい女性(76)。プルサーマル発電の実施について、「毎日大きな事故が起きるのかと思うと安心できない」と不安を口にしました。そして、「こんな大事なことを町民が納得いくまで説明しないで決めている県や町など行政のやり方にも納得できません」とも。

 九電が原発3号機内での男性作業員の被ばく事故を2カ月も隠していたことにも不信感を募らせます。

 「九電はいつも『安全だ』と繰り返して言うけど、危険と隣り合わせで働いている九電の従業員に対してどう思っているのか、ささいな事故でも隠さず、すぐ発表してほしい」といいます。

 「家は原発から2キロも離れていない」と話す女性(82)は、「とても不安がいっぱい。何かあったら、取り返しがつかない」と、旧ソ連で起きたチェルノブイリなどの原発事故のことに頭がいくといいます。「ほかのことはいろいろ問題があっても我慢できるけど、原発で事故が起きたら、子どもも孫も、子々孫々住めなくなる。漁民も農民もどうしたらいいのか。始めた人に責任が取れるのか」と声を震わせました。

 農業を営む男性(73)は、「プルサーマルには絶対に反対だ。原発をつくるときには町も九電も安全だと言ってきた。でも事故が起こっている。こんどはまったく知らない間にプルサーマルが始まった。中身も知らないが、テレビや新聞でわかる程度で町の説明はまったくない。農産物の風評被害も言われているし、余計に心配だ」と話しました。

 プルサーマル発電に反対する玄海原発対策住民会議は11日に、九電に危険なプルサーマル中止などを求めて交渉。同会の藤浦晧会長らは、応対した九電玄海原発環境広報の上田親彦担当次長にたいし、「国内でのMOX(プルトニウム・ウランの混合酸化物)燃料の製造も、使用済み核燃料の貯蔵・処理・処分の見通しもない」と、核燃料サイクルの破たんを指摘し、あらためてプルサーマル中止を求めました。

吉井議員迎え22日にシンポ

 玄海町では22日に、日本共産党の吉井英勝衆院議員を迎えて「プルサーマルと私たちのくらし」(同実行委員会の主催)と題したシンポジウムが開かれます。


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