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2009年11月11日(水)「しんぶん赤旗」

鳩山献金 偽装の構図


 底なしの様相をみせる鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」(友政懇)をめぐる偽装献金疑惑。これまでに明らかになった疑惑の構図はどうなっているのか。これから解明すべき点はなにか。そして問われる首相の責任は―。(「政治とカネ」取材班)


 鳩山首相の偽装献金疑惑の発端は、友政懇の政治資金収支報告書に、故人や献金していない人の名義が使われていたことが明らかにされたことです。

7割以上がウソ

 鳩山首相は6月30日の記者会見で、虚偽献金について、2005年〜08年の4年間で、のべ193件、総額2177万8000円だとしました。

 友政懇の政治資金収支報告書に、5万円を超す献金をしたとして名前が記載されていたのは、この4年間で、のべ261件。じつに実名献金の73・9%がウソだったことになります。

 鳩山首相の代理人の弁護士は、05年以前にも虚偽献金があることを認めました。本紙の調べでは、鳩山氏側が05年以降、架空名義と認めた人物と同姓同名、同住所の個人による献金が、1998年〜04年の報告書に、実人数で39人、のべ79件、総額1600万円にのぼることがわかっています。

「匿名」年700人超

 政治資金規正法は5万円以下の個人献金については、名前を記載しなくてもよいことになっています。いわゆる小口の匿名献金です。

 鳩山氏の友政懇は、04年4749万円、05年3969万円、06年3682万円、07年2779万円、08年2666万円―と、5年間で約1億8000万円、年平均約3600万円の小口献金があります。

 これは、他の政治家の資金管理団体と比べても、特段に多いものです。

 たとえば、民主党の小沢一郎幹事長の「陸山会」は450万1199円、自民党の谷垣禎一総裁の「政経文化研究会」は80万5000円(いずれも08年)といった具合です。

 年平均約3600万円、仮に全員が5万円の献金をしたとしても、毎年700人以上の「匿名」献金者がいたことになり、虚偽記載の疑いが指摘されています。

パーティーでも

 友政懇は、年1回、「鳩山由紀夫サイエンスフォーラム」という政治資金パーティーを開催。04〜08年の5年間にそれぞれ約4200万〜5800万円の収入があり、総額約2億4800万円にのぼります。

 会計実務担当者の元公設第1秘書は、収入を実際よりも多く見せかけるため、水増しして収支報告書に記載していたことが関係者の話でわかっています。

 まさに、偽装献金疑惑は広がるばかりです。

資金引き出し 首相みずから指示

 鳩山首相は当初、「私の個人資産の普通預金から必要なつど、担当者に引き出させて預けていた」と、虚偽献金の原資について、説明していました。

 ところが、ここにきて浮上してきたのが、鳩山家の資産管理会社「六幸商会」(東京都港区)の存在です。

 4日の衆院予算委員会で、鳩山氏は、会計実務担当者の元公設第1秘書が六幸商会から資金を引き出す際、その手続きに必要な「指示書」に署名していたことを明らかにしました。

 「『お金が足りなくなりました』ということで、六幸商会に管理してもらっている私の口座から、貸してください、引き出させてくださいということに、私が(指示書に)署名しているのは事実」と首相は、資金引き出しへのみずからの了承と関与を認めたのです。

 9日の参院予算委員会では、元公設第1秘書が引き出した資金について、「毎年数百万円から、あるいは数百万を超えていたかもしれない。年に何回か、引き出すことに署名した」と答弁。10日の同委員会では、6年間にわたって年平均約5000万円を引き出し、政治資金などに充てていたことを明らかにしました。

 首相が調べたのは6年間だけですが、少なくとも3億円にのぼるカネを引き出し、政治資金収支報告書に虚偽の報告をしていた疑いがあります。

 政治資金規正法は、政治献金について「民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財」と定義。虚偽記載に禁固5年以下、100万円以下の罰金という厳しい罰則を設けています。

 鳩山氏の「政治とカネ」の問題について、世論調査(「読売」10日付)では、「説明責任を果たしているとは思わない」人は73%に達しています。

 首相の疑惑は重大であり、鳩山首相は、みずからの関与をふくめ、説明責任を果たすべきです。

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